音フェチ動画、ASMRの歴史

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第6章:ASMRtistとYouTube:トラブルだらけの関係

クリエイターがYouTubeに群がり始めると同時に、ASMRtistは動画で広告収入を得るべきか、という議論も激しさを増していった。ごく初期のユーザーは、たいていリラックス目的や睡眠目的で動画を活用していたため、騒々しい爆音広告を見せられると怒り狂った。ASMRが資本主義のビジネスとして見られるのでは、という抵抗もあった。

ASMRが性的なものだという偏見も、ユーチューバーと同プラットフォームの関係にひびを入れた。ローリングストーン誌の取材に応じたASMRtistはみな口を揃えて、累計何十億回もの再生回数を誇るジャンルであるにも拘らず、YouTubeから「性的コンテンツ」とみなされたり、収益化を止められたことがあると言った。

HeatherFeather:
クリエイターやユーザーの中には、広告は断固反対っていう人もいる。ASMR動画を作る人は、まるで聖人か何かみたいに、おまんまを食ったり家賃を払ったりする必要はない、って思ってるみたいよ。

Amalzd:
「ASMRで金儲けするべきじゃない、ASMRを貶める行為だ」って激怒した人もいたわ。私はそんなことないと思う。だって、ミュージシャンなら歌でお金をもらうけど、歌うのが好きなことには変わらないでしょう。

ベン・ディーニー(ASMRtistのマネージャー):
みんな、ASMRを汚されたくないんだね。

HeatherFeather:
Patreon[訳注:アーティストやクリエイター向けのクラウドファンディングプラットフォーム]も相当物議をかもしたわね。最初に使い始めたのは男性アーティストなのに女性のASMRtistが真っ先に袋叩きに合った。それで女性も同じように使い始めたら「この女はASMRを台無しにした。ASMRを商業目的にした」って言うのよ。

ASMRの収益化は、最初のうちは確かに波紋を呼んだかもしれないが、ASMRが浸透するにつれ次第に認められるようになった――だが収益化に伴って、収益化停止という別の問題も持ち上がり、クリエイターの頭を常に悩ませている。

HeatherFeather:
「ASMRは脳内オーガズム」っていうキャッチーなイメージをメディアが定着させたせいで本当に困ってるわ。そのせいでYouTubeは私たちにかなりの影響力を持てるようになってしまった。

WhispersRed:
YouTubeは特にASMRコミュニティーに良くしてくれたわけでもないと思う。その時々よね。

Amalzd:
私の知人は定期的に動画を投稿しているわ。ただ手が写ってる、性的じゃないやつ。でも「ASMR囁き声」とかいうタイトルだったら(YouTubeから不適切だと)警告されるのよ。

Gibi ASMR:
私が一番カチンと来たのは、手術着を着たナースを演じたときね。前の週、病院に行ったときの経験を100%忠実に再現した内容だったの。手術着を着て、実際にナースにされたのと同じことをした。「これが性的だっていうの? だとしたら、医者を訴えるべきじゃない?」 本当に頭に来たわ。



Translated by Akiko Kato

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