音フェチ動画、ASMRの歴史

Image used in illustration by Fancy Studio/Shutterstock



第5章:いざメインストリームへ

「インターネットの奇妙な世界」と呼ばれる場所で何年もくすぶっていたが、ある日ASMRtistは妙なことが起きているのに気がついた。メインストリームになりつつあったのだ。2015年、ASMRの検索件数は倍増し、年を追うごとに着実に増えていった。

WhispersRed:
3年ぐらい前から急に話題になったのよね。

GentleWhispering:
新規ユーザーが大挙してチャンネル登録してくれた。

Amalzd:
あれがピークだったわね、本当にうなぎ上り。動画を投稿したとたん、再生回数がバカみたいに増えていった。

ASMRが趣味以上のものとして認められることになろうとは、黎明期の大半のユーチューバーにはとても考えられないことだった。だがGibi ASMRやGentleWhisperingといったユーチューバーらは実際に昼間働いていた仕事を辞め、何百万人ものチャンネル登録者を集め、その結果広告収入をがっぽり手にした(ただし、ローリングストーン誌が取材したASMRtistで具体的な数字を挙げたものは誰もいない)。過去にASMRtistを紹介したことがあるPewDiePieやRooster Teethといったチャンネルが18~25歳を中心とする膨大なオーディエンスを獲得したことで、YouTubeは若者カルチャーの中心となった。

HeatherFeather:
GibiとかASMR Darlingとか(いずれも2016年にPewDiePieのチャンネルで取り上げられた)第3世代のクリエイターが現れて、若者を引き入れてくれたの。

ベン・ディーニー:
YouTubeカルチャーとコンテンツ作成カルチャーが盛り上がっているのが目に見えた。この2つが同時に発生したことで、新人クリエイターが大量に生まれたんだと思う。

HeatherFeather:
若い子は、自分の趣味嗜好を恥ずかしいとは思わない。自分の好きなものに一生懸命で、ファンページも作ってくれる。熱狂的なファンとして宣伝してくれる。それでASMRにのめり込んだ若者が、ASMRtistを応援し始めた。世間から受け入れられるようになったのは、そのおかげだと思う。

メリンダ・ロウ:
インターネット上のニッチなものから、誰もが知ってるジャンルのひとつ、日常のものになったんです。

ついにメジャー映画にも飛び出した。最も有名なのが、エマ・ストーンとスティーヴ・カレル主演の映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』だ。この映画のシーンは、ASMRにヒントを得た史上初の長編作品、と言っても過言ではあるまい。主人公のビリー・ジーン(ストーン)が、後に恋人となる美容師のマリリン(アンドレア・ライズブロー)と初めて出会うシーンだ。共同監督のヴァレリー・ファリス氏とジョナサン・デイトン氏はポストプロダクションの音声編集チームと密接に協力し、ハサミの音をサラウンドで加えて美容室の椅子に座ったときの感覚を再現。ライズブローとストーンには声量を落として話すよう指示した。



Translated by Akiko Kato

タグ:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE