音フェチ動画、ASMRの歴史

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メディアが煽る偏見と勘違い

しかしながら、コミュニティーが拡大し、GentleWhisperingをはじめとするASMRtistが数十万人のチャンネル登録者を集めるようになると、後からやってきたユーチューバーが再生回数を稼ぐために性的要素を盛り込んだ筋書のロールプレイをするようになるまでそう時間はかからなかった。ある程度は理解できる、というASMRtistもいる。ASMR動画の大半が親密さを売りにしている以上、GentleWhisperingも言うように、「正直、囁き声に性的要素や官能的要素が含まれるのは当然」だ。しばしば“官能ASMR”と呼ばれるこのサブジャンルは、2010年代初期からすでに存在している――と同時に大きな波紋を呼び、今もその余波が続いている。

QueenOfSerene:
性的な動画を作るユーチューバーには本当迷惑してたの。あれほどムカついたことはなかった。あれのせいで、何年かはコミュニティーから離れていたぐらいよ。

WhispersRed:
私に言わせれば、ガッカリだわ。私は自分のためだけじゃなく、ASMRの偏見をなくして身体的感覚の奥深さを理解してもらうおうと、コミュニティーのために頑張っているっていうのに。子供がいるんだけど、前にうちの子たちが学校から帰ってくると、他の子に「お前のママはポルノ動画作ってるんだろ」って言われたって報告してきたの。うちの子は「違うよ、ママはそんなことしてない」って言い返さなきゃならなかった。

GentleWhispering:
私も最初の頃は、特に音の部分に官能的な要素を盛り込もうとしたわ。今はもうやっていないけど……全然普通だと思うし、ASMRにも2つを融合するコンテンツクリエイターがひとつのジャンルを確立している。そういうのが見たい人にとってはいいことだと思うわ。(でも)最近は明らかに、私のようなチャンネルには、露骨に性的なものを匂わせるものはないわ。

こうした偏見は初期のASMRのメディア報道でも見られ、ほとんどがセンセーショナルに騒ぎ立てたり、人気女性クリエイターに特化していた。例えば2012年のViceの記事は、ASMRとタグ付けされたYouTube動画の「悩ましいほどに官能的な」一面をテーマにしている。

HeatherFeather:
ユーチューバーもメディアも、私たちのやってたことを面白半分に取り上げて、性的フェチとして扱ってた。

WhispesrRed:
イギリスの『This Morning』っていうTV番組に出たことがあるんだけど、プロデューサーがみんな優しくしてくれたから「ワオ、みんな理解してくれてるんだ」って思ったわ。いざオンエアになると、画面の下1/3のところに「囁きポルノ:お試しなさいました?」 みたいな私の紹介テロップが出てて、私はスツールに座ってカメラがパンするのを待ち構えてた。カメラが向けられたとき、「ちょっと、一体どういうこと?」って気持ちだった。それでメイン司会者の1人に近づいて、ヘッドマッサージャーを使ったんだけど、マッサージを始めた途端バリー・ホワイトの音楽ががんがん鳴り出して、みんな大笑いよ。出演依頼を受けたときは、まともなインタビューっていう話だったのに。ASMRを知ってもらう最高のチャンスになるはずだったのが笑いものにされただけだった。身も心もボロボロ、いいカモにされた。本当、ASMRコミュニティーをバカにしてるわよね。

Translated by Akiko Kato

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