音フェチ動画、ASMRの歴史

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CM、音楽をきっかけにさらに注目を集めるASMR

ヴァレリー・ファリス(『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』共同監督)
椅子に座って、他の人に髪を触られ、シャンプーしてもらい、パーソナルスペースの内側で話しかけられる。その感覚は誰もが知っています。その感覚を可能なところまで引き出して、ビリー・ジーンになったつもりで感じてほしかったんです。

ジョナサン・デイトン(『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』共同監督)
映画館でもASMR体験を生み出せるかどうか、という実験でもありました。

ヴァレリー・ファリス:
あの映画で、他のどのシーンよりも特に話題になったのが髪を切る場面でした。みんな無意識のうちに(ASMRの存在に)気づいているんですよ。

大手ブランドも目をつけはじめた。先陣を切ったのは、初のアメリカ農務省認定オーガニックビールを謳ったMichelobのライト・ウルトラゴールドの画期的なCMだった。

フレッド・レヴロン:(FCB Global社、ワールドワイド・クリエイティブ・パートナー)
全てが騒々しくて、CMが次から次へと映し出される時代に、最大手の自然派ブランドが45秒間のピュアなオーガニック体験を、数十万人のアメリカの視聴者に提供できたら最高だろうと思いました。そういもの全てから視聴者を解放したかったんです。

ハワイの熱帯雨林の真ん中で、テーブルに腰かけたゾーイ・クラヴィッツが囁きながらボトルをそっと叩くCMはたちまち大きな話題になった。Michelob Ultraのマーケティング副部長、アザニア・アンドルーズ氏によると、CM放映後ビールの売上本数は倍増したそうだ。これもまた、ASMRコミュニティーを全く新しいオーディエンスに紹介する橋渡しとなった。

GentleWhispering:
スーパーボウルの最中にあの広告が流れた後、チャンネル登録者が一気に増えた。みんなそれまでASMRなんて聞いたこともなかったのね。大勢の人々がコミュニティーに集まったわ。

フレッド・レヴロン:
抜群のタイミングだったんでしょうね。既存のオーディエンスには十分知られていたけれど、メインストリームのオーディエンスにはまだ知られていませんでしたから。

Gibi ASMR:
翌日、いろんなブランドから「弊社もASMRをやります」っていうメールが10件ぐらい来てたわ。「へぇ、なるほどね」って思った。



ASMRはポップ・ミュージックにも登場した。中でも有名なのが、ビリー・アイリッシュのアルバム『When We All Fall Asleep, Where Do We Go?』だ。

Gibi ASMR:
ビリー・アイリッシュとASMRはものすごくウケた。彼女の独特の歌声が良かったのよ。ちょっと低めで、気持ちが安らぐ感じ。だから、ASMR界との結びつきはごく自然だった。

クレイグ・リチャード博士:
歌にASMRの手法を取り入れたと言われるビリー・アイリッシュが、グラミーで最優秀シンガー賞を受賞するということは、ASMRへの認知に繋がります。

両者の結びつきは、200万人以上のチャンネル登録者を誇るASMRtistのGibi ASMRがアルバムをカバーしたことで、不動のものとなった。Gibi曰く、カバーアルバムの話はアイリッシュのレコードレーベル側から声がかかって実現したそうだ。

Gibi ASMR:
彼女があの動画を見たかは知らないわ。でも確か、何かのインタビューで「私は囁いてるんじゃない」って言ってたのを聞いたことがある。ASMRtistと比べられて、囁いてるって言われるのが嫌だったみたい。実際彼女は歌ってるんだからね。でもユニークよね。私たちみたいに、マイクにすごく近づいて歌ってるように聞こえるでしょう。そして本当に耳心地がいいのよ。



Translated by Akiko Kato

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