ASKAが語る作詞論 言葉ではなく「フィーリング」を大事にする理由

ASKA(Courtesy of DADA label)

ASKA待望のニューアルバム『Breath of Bless』がリリースされた。発売前からASKA自身が「自身の最高傑作」と言っていた本作。J-POPの領域を超えたポップスたちが揃った傑作に迫った。

―コロナウイルスの影響で、去年末からスタートしたツアー『billboard classics ASKA premium ensemble concert -higher ground-』の一部が延期になっていますが、僕は2月11日の東京文化会館 大ホールでの公演を拝見。CHAGE and ASKAの曲を思いきり演奏している印象がありました。

ASKA:なんかいろんな意味で吹っ切れたんです。今回、CHAGE and ASKAの人気曲と言われる「HEART」や「BIG TREE」をソロで演奏する時に、ソロだからアレンジを変えることも考えてはいたんですよ。でも、この楽曲のキャラクターはこのイントロがあってこその楽曲だからってことで、それを「一人で歌うだけじゃないか」ということを自分に言い聞かせた後は、もうその気持ちで歌えました。もし妙に気を遣ってやってたら今までと一緒でどこかモヤモヤしていたのかも。だから、いろんな意味で吹っ切れてやれたライブでしたね。

―“吹っ切れた感”はものすごく感じました。変な話ですが、チャゲアスのライブ用に温存しておいた代表曲ももう温存しなくていいんだっていうか。もう解禁だというのが伝わるセトリでしたし。

ASKA:実は、2010年の『ASKA 10 DAYS SPECIAL グッバイ&サンキュー 東京厚生年金会館-ここにあなたの足跡を-』という新宿厚生年金会館の最後のライブの時に、それまでソロではチャゲアスの曲はやってなかったのですが、あの時にチャゲアスの曲をやったんですよ。このタイミングでソロでやっておかないと、解散なり脱退の状態を迎えた時にやれなくなると思ったんです。「前からやってたじゃないか」と、言えるように。あの時にもうすでにその準備に入ってたんです。そういう意味では、ソロでチャゲアスをやることは特別なことではなかったんです。ただ、今までは少しアレンジを変えてたりしてたので。でも今回は全然その必要はなくやりました。

―そしていよいよアルバムリリース。考えてみたら『Too many  people』(2017年2月)と『Black&White』(2017年10月)は、2018年11月の再始動コンサート前のリリースだったので、世間的にもそういう空気の中で受け止めた作品でした。今回は事件とも関係なく、しかも再始動後にツアーも3本、海外公演も成功させ、純粋なASKAさんのアルバム。ご本人は前作2作と比べてそういう意識はありましたか?

ASKA:1発目の『Too many  people』から事件云々はあんまりなく、僕よりも世間の方がそういう空気でしたから。そこには合わしちゃいけない、楽曲は楽曲だと思ってやってました。今回のアルバムで特筆すべきことは、一昨年に半年間続けて、3月から8月まで毎月一曲ずつ配信したことですね。あれは良かったかな。一曲ずつとなるとアルバムテイストの曲を発表してもしょうがないわけです。毎月“これだぞ!”っていうにはやはりシングルの強さがないとダメなんで。で、6曲出した時点で、6曲ともすごくいい反応だったんです。それを1年続けようと思ったら続けられたわけなんですが、でも1年続けたら12曲になっちゃう。そしたらもうそれはベスト・アルバムになっちゃうでしょ? それはアルバムとしては面白くない。6カ月したところで、これはもうなんの問題もないな、できるなと思ったので、「今月で毎月配信は辞めさせていただきます。あとはアルバムで聴いてください」ってことにしたんです。そのあとにシングルとして去年の11月に「歌になりたい」「Breath of Bless〜すべてのアスリートたちへ」を出したので、合計8曲を発表したことになりました。ですから、アルバムとして喜んで頂けるよう、そこから7曲をアルバムならではの楽曲で作りましたね。

―アルバム全体としては大きくイメージしたコンセプトはあったのですか?

ASKA:ないです。全曲いいと思わせたい、それだけですね。

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