音フェチ動画、ASMRの歴史

第8章:ASMRの未来

今日、ASMRは間違いなくYouTubeの人気ジャンルのひとつだ。セレブやブランドもこのブームに飛びつき、進取的なZ世代の若者はフォロワーを増やすため、検索に引っかかりやすいタイトルをつけ、定期的に自作の動画を投稿している。ASMRが性的なものだという偏見は未だ残るが、メインストリームに少しずつ進出しているおかげで、それも急激に払拭されつつある。黎明期からコミュニティーを支えてきた人々の多くは、爆発的ブームに複雑な思いを抱く一方、いつか科学的権威が本気で研究してくれるだろうと期待を寄せている。

GentleWhispering:
昨今、ASMRはなんでもありね。モクバン、スライム、知覚玩具にハンドスピナー、昔だったらASMRとは呼べなかったものまでね。

QueenOfSerene:
今は何かヒネリが必要ね、「ASMRを感じない人向けのASMR」とか「5分で眠れる」とか。

Amalzd:
昔は何かを食べてる動画はそんなに多くなかったと思う。でも今じゃASMRの中でも大きなジャンルになってる。マイクに向かって舌なめずりする1時間の動画なんてすぐ見つかる。

EphemeralRift:
“快感”動画っていうのが流行り出してるんだ。「快感」ってワードで検索すると、スライムをいじっているような動画が上がってくる。それはそれで構わない、好きなことをやればいい。だけど一部の人が特定のキーワードやぱっと目を引くものを使うようになったとは思う。



メリンダ・ロウ(WhisperLodge創設者):
スーパーボウルでASMRのCMが流れてから、いきなり問い合わせが殺到し始めました。The WingやMoxie Hotelから仕事が来たり、つい先週もHerbal Essencesと仕事をしました。Kahluaの新商品の立ち上げも我々がやりました。

ジェニファー・アレン:
KFCのCMもそうですね。カーネル・サンダースがムシャムシャかぶりついて、ハンカチーフをたたむ動画をYouTubeに投稿してた人がいました。面白かったとは思いましたが、何かが欠けているような気がしたんです。たぶん、ASMRは少し迷走しているんじゃないでしょうか。みんな再生回数に踊らされて、要点をちゃんと理解していないと思います。

QueenOfSerene:
それが一番大きく変わった点だと思う。注目集めに必死。飽和状態ね。もはや人助けなんてそっちのけ。

Amalzd:
この先、もっと拡大していくんじゃないかしら。

QueenOfSerene:
私は治療目的で使ってほしい。何らかの認定があったらいいなと思う。今は催眠術師とかヨガの先生とかも資格があるでしょ。もっと資金を投入して、もっと多くの研究が行われれば、そういう風になると本気で信じているの。

クレイグ・リチャード博士:
次の大きな目標は臨床研究です。まだ臨床研究を行った人は誰もいません。行うなら不安障害や不眠症などの診断を受けた患者を募集し、ASMR治療を受けてもらいます。そのためには治療内容を策定、定義し、すでに実証されている不安障害や不眠症の治療と比較しなくてはなりません。

Translated by Akiko Kato

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