音フェチ動画、ASMRの歴史

第2章:「もっと大きな声で話しなよ、なんでヒソヒソ声なの?」 『ビッグ・ブラザー』から囁き文化が生まれた

2009年、ASMRの原型ともいえる史上初の“囁き動画”がYouTubeに投稿された。音声のみの2分足らずの動画は、イギリス英語の女性が真っ黒な背景で囁くというものだった。「囁き声が大好きだから、自分が囁く動画を作ってみようと思ったの。すっごい変でしょ」と、WhisperingLifeという女性が動画の中で語る。WhisperingLifeの動画が人気を集めたことで、数十名のユーチューバーが独自の“囁き”動画を作り始めた。



WhisperingLife(ユーチューバー):
YouTubeを見てたら偶然『ビッグ・ブラザー』シーズン8の動画にたどり着いて、出演者が互いに囁き合っているの。何人かがコメント欄に「うわ、すごく気分が落ち着く」って書いてた。もっと囁き声がないかと思って検索してみたんだけど、ひとつも見つからなかったから、自分で作っちゃえば?って思ったの。すごく変わってるね、とか、「もっと大きな声で話しなよ、なんでヒソヒソ声なの?」と言う人も何人かいたけど、全体的にはかなり好感触だった。『ビッグ・ブラザー』シーズン8の動画にチャンネルを立ち上げたってコメントを残したら、そこから大勢の人が私のチャンネルに流れてきたわ。

QueenOfSerene(ユーチューバー):
ある女の子は文字通りテーブルに携帯を置いて、テーブルの上に積まれたエプソムソルト(バスソルト)を摘んでは落とす、ってことをやっていたの。なんてことない音だけど、うっとりしちゃった。

HeatherFeather:
メイク動画がたくさんあったね。メイクしてるところや、友達とおしゃべりしてる様子とか、その手のもの。あとは、ただひたすら自分のコレクションを列挙したり、披露したりとか。

QueenOfSerene:
昔は本当に少人数だった。お金も絡んでなかったしね。

WhispersRed:
昔は新しいクリエイターが出てくると、みんなすぐに見に行ったわ。あら、今週はまた違う子が来たわね、って感じ。

Amalzd:
グループチャットとかもやったこともあったわね……どのサーバーだったか覚えてないけど。プライベート・チャットルームでおしゃべりしたり、Skypeしたり。必ず私たちを目の敵にする人がいて、よく話のネタにしてたわ。「この人、何してるんだろうね?」って。まだ新しかったものを通して、絆を深めることができた。秘密を共有するみたいな感じだったわね。

Translated by Akiko Kato

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