音フェチ動画、ASMRの歴史

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第7章:ASMRは芸術、エンターテイメント、それともセラピーか?

初めの頃はASMRの性的一面ほど注目されなかったものの、ASMR動画をセラピー目的で使う人たちもいる。コメントの多くは精神的障害に悩んでいる人や、鬱やPTSDを抱えている人たちからだ。たいていは何らかの不眠症、あるいは睡眠障害を抱えていた。

GentleWhispering:
シングルマザーから消防士、救急隊員まで、あらゆる年代層の人たちからコメントをもらうわ。みんな毎日ストレスを抱えていて、一日の終わりには正気を保ってられないって言うの。でもASMR動画を聞くと、ようやく気分が収まってリラックスできるんですって。

Amalzd:
一人の女性から一度手紙をもらったことがあってね。出産中に私の動画を見たんですって。おかげで無事、落ち着いて出産できましたって。忘れられないわ。

QueenOfSerene:
ある男性が自分は今アフガニスタンにいるんだって言って、同じ部隊の仲間の名前とか、仲間内でどの動画が人気だとか、部隊のこととか、現地での任務とかを語ってくれた。みんなで集まって動画を見てくれているんですって。胸がぎゅっと熱くなったわ。だって、彼らは本当に大変なことをしているのよ。たくましいタフな男たちが、戦争で戦うために派遣されて、夜になると私がメイクとかしてるだけの動画を見てるの――そう考えると、なんか気恥ずかしくなっちゃった。



HeatherFeather:
Redditのユーザーからメールをもらったんだけど、軍隊に所属しててPTSDを抱えていたんですって。それまで床で寝ていたけど、私の動画のおかげでまたベッドで眠れるようになったって言うのよ。これぞまさに、人と人との繋がりって感じだわ。

QueenOfSerene:
(ASMRコミュニティーに加わった時)私は鎮静剤中毒から回復しているところだった。リハビリをして、人生の生きがいを探していたの。回復してはいたけど、何カ月もずっと眠れなくて苦労してた。だから、「おかげでPTSDが良くなりました」っていうメッセージをもらうと、嘘じゃないのがわかる。私も経験者だから。

GentleWhispering:
本当はこんなこと言うべき立場じゃないんだけど、間違いなく癒し効果はあると思う。私自身、動画を作っているときにその効果を感じるもの。他の人たちのためにペースを落とすことで私も助かっているの。

WhispersRed:
(2010年の冬に)交通事故に遭って、何度も手術を受けたの。子供の面倒が見られなくて、本当に助けが必要だった。最悪の時期だったわ。長い間車椅子生活だった。身体を動かせるようになって、また歩けるようになったと思ったらPTSDの症状が出てきたけど、自分ではPTSDだという実感はなかった。単に母親業に疲れてるんだと思った。睡眠や瞑想のために波の音を検索してたら、最終的にASMR動画にたどり着いた。みんな精神疾患のことを、ものすごくオープンに語っていたわ。鬱とか、PTSDとか、そういうの。私も自分を観察したら同じ問題を抱えるってことに気がついたの。それまでは自分が問題を抱えているなんて思いもしなかった。ただ中途半端な人生を送っていた。そのとき、助けを求めたの。ASMRコミュニティーは本当に私の人生を変えてくれたのよ。

Translated by Akiko Kato

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