大村雅朗没後25年、生前最後のスタジオをともにした石川鉄男と音像を辿る



石川:この曲も思い出があるんですけど、大村さんと小学校の時に初めて仕事をさせていただいて、声をかけていただいた中に石川鷹彦さんというレジェンド中のレジェンドのギタリストがいて。石川鷹彦さんは自宅に当時テープレコーダー16チャンネルとかミキサーが家にあったんですね。上手くいかないところがあって手伝ってくれないかということで、家に呼ばれて行って「これこうですよ」なんて言ってパッと直したら「すごいな」ってなって、お前さボーヤやってくれない?って言われたのがきっかけで、大村さんもたまに遊びに来たんですけど、イルカさんとか伊勢正三さんとかも来てたり、石川さん周りの人の中で岸田智史さんもいて。大村さんがこの曲いいねってなって僕にやらせてよってなったのがきっかけで出来上がった過程を見ていたので、テレビで流れて大ヒットした時にやっぱり音楽ってすごいなと。あんなちょっとした会話でここまで出来上がるんだなという思い出がありました。

田家:石川さんは13~14歳(笑)。さっき「君はクロール」をあらためて大村さんだったんだっておっしゃったでしょ。「きみの朝」を聴いてあらためて、これ大村さんだったんだって思ったんですよ。サビが流れすぎたので、アレンジというところにみんな耳がいかなかった。こんなにピアノが柔らかい上品な曲なのかとあらためて思ったことですね。

石川:さっき「櫻の園」をパロディって言いましたけど、キーボードに向かってアレンジするんですけど4~5割はイントロを作るところに使うんです。イントロができたら、もう終わったって感じなんです。

田家:先週のゲスト、河合奈保子さんのアルバムを特集したんですけど、そこにいらした土屋信太郎さんというソワレというシャンソン歌手の方が、大村さんのアレンジをフェミニンっておっしゃっていたんです。それは言い得て妙だなと思って、今のこの「きみの朝」はフェミニンですもんね。

石川:空間、広さが見えますからね。

田家:岡本おさみさんはフェミニンとは言い難い人ですし、岸田智史さんも男っぽい人ですから、そうか、大村さんなんだってものすごく納得した発見ですね。

石川:当時分からなかったんだけど、今紐解いていくと繋がりが見えますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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