大村雅朗没後25年、生前最後のスタジオをともにした石川鉄男と音像を辿る



石川:これは大村さんが亡くなった後に出てきた大村さん作曲の曲ですね。

田家:松本さんがいい曲だからって残していた。

石川:いろいろ考えて、アレンジは4パターンくらい作ったんですね。いろいろなパターンがあったんですけど、こういう言い方は語弊があるんですけど、僕にとってはパロディなんです。大村さんがやったらこうなるんじゃないの?って。ボイシング、歌に対して追いかけるやつも全部パロディですね。大村さんだったらこうするはずって。なので、業界で知っている人が聴くと、ちょっとクスッとなる。大村さんじゃん!みたいな。

田家:松本さんからこの曲の話を伺ったことがあるんですけど、聖子さんにこれは大村さんの曲だって言わなかったそうなんです。でも、歌っている時に聖子さんが気がついたんですって、それで号泣したという話を伺ったのですがスタジオにいらしたんでしょう?

石川:外にいたんですけど、「すみません、1回歌入れ止まります」ってなって。聖子さんは強い人なので、そういう人じゃないんだけど、その時に初めてそうなってしまうという。

田家:この曲がラジオから流れたりすると、石川さんは大村さんとご自分が重なり合う?

石川:そうですね。簡単に言うと、恐れ多いんですよ。今考えれば(笑)。自分で勝手に師と言っている人のパロディみたいな感じで組み立てたので、ふざけているわけではないんですけど、見据えてたような感じになるじゃないですか。みんな「大村さんっぽいし、大村さんがいるみたいだね」って言ってくれるので、ああ、よかったのかなと思っています。

Rolling Stone Japan 編集部

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