河合奈保子の楽曲から辿る、編曲家・大村雅朗の軌跡



田家:今日の7つ目のお題、シティ・ポップブームに加えたい曲。84年6月発売「夏の日の恋」、17枚目のシングル「コントロール」のB面で、作詞が三浦徳子さんで作曲がなんと八神純子さん。A面の「コントロール」も売野雅勇さんと八神純子さん。

土屋:前の年の石川優子さんから始まって、83年の11月のLP『HALF SHADOW』では、谷山浩子さんと一緒にやって、八神純子さんにいったんですよね。これはちょっと余談なんですけど、奈保子さんのボックスをやったときに未発表曲で、「デリカシー」って曲を見つけたんですけど、アレンジャーのクレジットがないので大村さんでは100%ないとは言い切れないけど大村さんっぽくはないと思うんですよ。

田家:アレンジャーのクレジットがない。そういう時代だったんですね。

土屋:本当にマスターテープの中に「デリカシー」って文字しか書いてなくて。僕はお仕事させていただいたとき、これは何かおかしいなと思ってマスターテープを聞いてみたら未発表曲だったんですよ。マスターテープには作詞作曲者も書いてなくて。八神さんじゃないかなと思ってヤマハさんに聞いて頂いたら八神さんだったんです。八神さんは綺麗に資料を残されていて、詞と曲までは分かったんですけどアレンジャーが分かんないから、もしかしたら。

田家:八神さんだったら大村さんってことがありえますよね。

土屋:ただ、大村さんのアレンジにしては下品だから違うと思うんですけど(笑)。

田家:大村さんのアレンジ上品なんですよね。基本的にどんな音を使っても上品。今の「夏の日の恋」は今流行りのシティ・ポップのブームに入れたいと。こういう曲ってレコーディングのときは河合さんは一緒に歌われるんですか?

土屋:この次からなんですよ。奈保子さんがリズム隊までレコーディングに参加するLPが出るのが。それはロス録音なんですけど、『DAYDREAM COAST』ってLPのときは音作りから全部立ち会って。それまで大村さんのアレンジをはじめとして、色んなソングライターの方とのやり取りの中で段々芽生えてきたものが次からガラッと変わってくるんですよね。

Rolling Stone Japan 編集部

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