河合奈保子の楽曲から辿る、編曲家・大村雅朗の軌跡



田家:1981年6月発売の5枚目のシングル「スマイル・フォー・ミー」。

土屋:この曲は最初にもう一個アレンジがあって。奈保子さんのポップスシンガーとしての基礎力を大村さんはうまくリアレンジしていている最初のアレンジはすごくアイドルポップスっぽいんですよ。

田家:最初のアレンジの方も聴きましたけどどこかそっけないですよね。

土屋:そうなんですよ。元々のアレンジから拍子を変えていたり、そういったところで奈保子さんの歌の良さを引き出している印象がありますね。

田家:元のアレンジだとこんなにキラキラした華やかな感じがないですもんね。

土屋:全然ないですね。このアレンジだからこそこの曲はヒットしたと思いますね。

田家:作詞が竜真知子さんで、作曲が馬飼野康二。大村さんと奈保子さんは1981年6月のこの曲から始まって84年の6月までの3年間なんですね。この3年間は河合さんにとってはどんな期間だったんですか?

土屋:「スマイル・フォー・ミー」で奈保子さんがトップアイドルになられて、84年6月のLP『Summer Delicacy』の次にロスで録音された『DAYDREAM COAST』からアーティスト志向になっていくんですね。そこから先はシンガーソングライターへとシフトチェンジをして、サウンド作りにも関わっていくんですよ。リズム隊のレコーディングに参加なさったりして。大村さんのアレンジを聴きながら音作りはこうするんだってなんとなく感じていたところもあるんじゃないかなと思いますけどね。

田家:河合奈保子という1人のアイドルの音楽に対する目を覚まさせた存在だったのかもしれないですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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