河合奈保子の楽曲から辿る、編曲家・大村雅朗の軌跡



田家:今日6つ目のお題、2人の相性の良さを感じさせる曲。83年6月発売6枚目のアルバム『SKY PARK』の中の「八月のバレンタイン」。この曲はドラムの音がすごいですよね、83年でこれかみたいな感じで。

土屋:リズムの作り方の面白さと印象的なメロディーが次々と重なっていく、大村さんのどっしりハネてる感じ。この頃になると奈保子さんってあまり跳ねた歌い方をしなくなるんですけど、新しい歌い方だからハネないけどハネるような感じをこの曲はすごく引っ張ってきてる感じがして。初期の奈保子さんって「ツッ、ツッ」って小さいッが沢山入るような歌い方だったんですけど、奈保子さんの特徴である、ちょっと跳ねた感じをこの曲からは感じるので。

田家:どっしりしているんだけど躍動感があるという。

土屋:そうそう。その通りだと思うんですね。

田家:ドラムはすごく太いんだけど、キラキラキラキラしている。水面で光が反射しているような煌めきがずっとある。

土屋:そうなんですよ。ドラムって実はメロディー楽器じゃないんだけど、このドラムはものすごいメロディーっぽく聞こえて。新しいハネ方をすごく感じるんですよね。

田家:全曲を大村雅朗さんがアレンジしたのは松田聖子さんよりも河合奈保子さんが先だってさっき思わず言ってしまったんですが、ちゃんと調べて頂いたら河合奈保子さんの方が先ですね。松田聖子さんは85年のアルバム『The 9th Wave』なので、それより2年も前に大村さんは河合奈保子さんのアルバムを全曲やっていた。

土屋:なかなか面白いですね。奈保子さんは84年までしか大村さんとのお付き合いないから、その次の年なんですね。

田家:今回の『大村雅朗作品集』にはこの『SKY PARK』の10曲全曲が入ってるそうです。そういう意味では河合奈保子さんのキャリアの中で大村雅朗っていう人がどのくらい重要な位置を占めてたかというアルバムでもありますね。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE