河合奈保子の楽曲から辿る、編曲家・大村雅朗の軌跡



田家:83年6月発売13枚目のシングル「エスカレーション」。改めてどのように好きになったんでしょう。

土屋:この曲を最初に聞いたときは衝撃で。それはネガティブな衝撃だったんですけど、「レッツGOアイドル」って番組で最初に見たんですけど、たまたま伴奏がカラオケだったんですね。髪の毛も切っちゃって、一体この夏はどこに進んでいくんだろうってショックを受けたんですよね(笑)。この年は色んな意味でイメージチェンジを色んなアイドルの方がなさっていたんですね。その前に小泉今日子さんが「まっ赤な女の子」で髪の毛を切ったり、同期の柏原芳恵さんが「春なのに」でボーンと売れちゃったり。世の中的にものすごく売れちゃって、逆に僕の方が取り残されるというか、「え!この曲そんないいの!」みたいに思ってて。

田家:それがどんなふうに変わって、好きになったんですか。

土屋:世の中に負けたというか(笑)。結局、すごい売れてザ・ベストテンには9週連続でランクインしているんですよ。これは奈保子さんの最高記録で、7、5、4、4、3、3、4、4、10位って入ってるんですけど。

田家:全部の順位を覚えてらっしゃるんだ(笑)!

土屋:ベストテンは全部わかります。94週全部言えます。

田家:えー!奈保子さんの曲が全部で94週入ってるんですか。その順位がどうやって推移していったかも全部頭入っていると。

土屋:そう。寝れない時には羊を数えるようにずっと「10、9、9、10、9、9、10、7、8、7、6、7、8、9」とか言ってます。これ今「スマイル・フォー・ミー」まで行ったんですけど。

田家:(笑)。笑っちゃいけないんですけど、すごいなぁ。そういう方が改めてこの曲を好きになった。

土屋:衣装も奈保子さんはいつも3着作っていただくんですけど、「エスカレーション」は馬鹿売れしちゃったので、もう1着増えて。色んな意味で自分の背中を押されるというか、頭の後ろを羽子板で叩かれるような感じで好きにされられていく感じがありましたね。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE