伊東ゆかりステージデビュー70周年、本人と振り返る1958年から1970年



田家:今日の8曲目。1968年10月発売「朝のくちづけ」。作詞・有馬三恵子さん、作曲・鈴木淳さん。伊東ゆかりさん21歳。紅白歌合戦6年連続出場。輝かしいです。

伊東:この「朝のくちづけ」を好きな人は多いです。私も好きですね。すごく爽やかで。

田家:1969年を合歓ポピュラーフェスティバルで歌唱作曲のグランプリを取れたりもしている。合歓ポピュラーフェスティバルが中村八大さんたち、当時の作曲家の方たちが本当にいい曲を作ろうってことで始まったフェスですし、伊東ゆかりさんは当時作曲家が最も歌ってほしい歌手だったんですよ。

伊東:そうだったんですか? 褒められたことがないからわかんない。

田家:改めてもこうやって振り返るとそういう存在だったんだなと思いました。

淋しいから / 伊東ゆかり

田家:9曲目。1970年5月発売「淋しいから」。これは65年に出た中尾ミエさんのカバー。

伊東:私これ自分で歌っていると思いませんでした。三人娘のコンサートがあったとき、お互いの歌を交換するコーナーがあって、私はミエさんの「淋しいから」を歌ったんですよね。このアルバムをもらったときに、「あれ、私これ歌ってるんだ」って初めて気がついた(笑)。

田家:これも安井かずみさんと宮川泰さんの曲ですが、三人娘って誰々さん用って曲が渡されるんですか?

伊東:渡辺プロっていう大きな組織の中にいたので、その中では多分そういうことあったかもしれないですね。これはゆかり用とか、まり用とか、ミエ用とかあったかもしれません。歌う本人は知らないですね。

田家:「ミエちゃんの今回の新曲、私が歌いたいわ!」みたいな場面とかはなかった?

伊東:うーん。ミエさんとは同じポップスですから。まりさんは歌謡曲の方に行っているのでミエさんと私とはかち合うってことはなかったですけど、ミエさんと取り合った曲はありますよ。

田家:あるんですか?

伊東:はい。槇みちるさんがオリジナルを歌った「片想い」って曲は取り合いましたね。ミエさんも私が歌いたい、私も私が歌いたいって。あの曲はいろんな方が歌いたいって。結局あの頃新人だった槇みちるちゃんに取られちゃったんですけど、「若いってすばらしい」かったです。

Rolling Stone Japan 編集部

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