伊東ゆかりステージデビュー70周年、本人と振り返る1958年から1970年



流れているのは、この番組の後テーマ竹内まりやさんの「静かなレジェンド」です。

その時代だから起きたことや問題になったことなど、世の中の規範は時代によって変わったりするわけで、今思えば信じられないことが当時はあった。1950年代は、その最たるものでしょうね。戦後の日本は敗戦国で、みんな貧しくて生きることに必死だった。ミュージシャンもその渦中にいたわけですね。戦争中は英米音楽は敵国音楽ということで禁止されてましたから。そういうミュージシャンたちが戦後解禁になって現場に戻ってきたわけですが、なかなか生活できなかった。音楽が好きとか嫌いとかじゃなくて、生きていくために歌わなければいけない、そういうミュージシャンの家族があったわけで、伊東ゆかりさんのステージのデビューは6歳。お父様は米軍キャンプで演奏していたジャズミュージシャンですね。この辺はシングルコレクションのブックレットにとても詳しく書いてあったんで、改めて知ったことがかなりあって、感動したり驚いたりもしたんですが、お父様は父子家庭でいらした。生活のために伊東ゆかりさんもそのお父様の現場に行って歌う。そこから音楽の道が始まったわけですね。ですからずっと歌うのが嫌だったという話が今週もこれから先も出てくると思うんですが、そこから自分のスタイルを作り上げていった人なんですね。

「小指の想い出」は、米軍キャンプで歌ったりしてた人にとってはポップスとは思えないところがあったっていうのも改めて知ったことで、むしろとても好意的に思えたんですね。やっぱりミュージシャン、ジャズをやっていた人たちにとっては歌謡曲はそういう音楽だったんだなって。そういうものを見ながら音楽をやっていたんだなと、一つの答えをもらったような気がしました。70周年であります。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
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Rolling Stone Japan 編集部

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