Emerald・中野陽介と手島将彦が語る、音楽家として追求する「心豊かでいるための音楽」

ー中野さんはPaperBagLunchboxに参加していた当時、自分のつらい思いを相談できる人はいなかったんですか?

中野:僕は音楽以外の仕事をしてる友達が多かったんですよ。当時は姉貴が亡くなっちゃったりもして、身の回りで起きたことに対して対処、相談できる人はほとんどいなかったんですよね。レーベルの人たちも助けてくれてはいたと思うんですけど、姉が死んじゃったのがきっかけで曲が作れなくなっちゃって、リタリンっていうすごい強い薬を飲まないと起きてられない状態になったんですよ。その時期に肝心の曲ができないもんだから、レーベルも温度感が下がっていって徐々に離れていくんですよ。自分でなんとかしなきゃいけないって思い込んでました。

手島:大手のレコード会社の方たちの中でもメンタル大事だよね、という意識を持って動かれる方も出てきていて、それはとても良い傾向だなと思っています。その一方で、まだこんなに基本的な理解がないんだなって思うのも正直なところなんですよ。お医者さんとかカウンセラーとかじゃないから知らなくても当然なことはあるんですけど、世の中の人の生き方のフェイズが変わってきている中で、生き方とかモノを作る時のスタンスがまだ古いんですよ。結局それがメンタルヘルスにも繋がっていて。さっき中野さんは根性って仰ってましたけど、要はそういうところから何も変わってないんですよね。根性論を言える人って色んな意味で恵まれてたり強い立場にいたりするからそれを言える、ということが多いのですが、自分がそういう立場にいるということに気づいていないのでそれが分からない。また、小規模なレーベルやプロダクションのスタッフはもっとミュージシャンと一心同体な人もいるかもしれないけど、一心同体はやり方を間違うと無理心中になっちゃいますよね。

Rolling Stone Japan 編集部

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