Emerald・中野陽介と手島将彦が語る、音楽家として追求する「心豊かでいるための音楽」

ー今回、手島さんの対談や連載、著書を読んで中野さんから直接ご連絡をされたそうですね。率直に、読んでみてどんな感想をお持ちになりましたか?

中野陽介(以下、中野):書籍『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』を僕が手に取るまで、アーティストのメンタルヘルスにフォーカスした本に出会ったことがなかったんですね。僕が東京に出てきた20歳すぎのときに、この本に出会いたかったな、というのが正直なところです。当時は相談できる人もいなかったし、自分の心を守ることにフォーカスする記事もなかったんですよ。根性ひとつですね。アーティストは売れなきゃ地獄、ちょっと売れても地獄みたいな。売れないと存在する価値がないような状況で追い立てられて、歳をとるごとに何者でもなくなっていき、周りが家族なんかを作っていく中、何かになりたい何者でもない人になっていく。26、7歳の時にそういう考えに追い込まれてバンド活動していたんで、その時の自分がこれを読んでいたら涙を流して相談しにいっただろうなって思います。最近は、そういうことを語ってくれる人が出てきたりして、報われるシーンが増えてきて。手島さんに感謝を伝えたいなって思って、ラブレターみたいなものを送ったんですよ。

手島将彦(以下、手島):僕がご連絡いただく前にもTwitterで反応していただいてたのを見ていて。なんで気づいたかというと、中野さんの存在を知っていたからなんです。PaperBagLunchboxもO-nestで見ていたし、CDも持っているんです。Cinraで「音楽を、辞めた人と続けた人」という連載を柏井万作さんとやってらっしゃった時も全部読んでいて。以前『なぜアーティストは生きづらいのか? 個性的すぎる才能の活かし方』という本も出しているんですけど、その時の共著者の本田秀夫先生と僕でCinraでインタビューしてもらったんです。そのとき「あの連載の当事者の人には是非読んでほしいと思ったんですよ」って伝えていて。

中野:そんなことが…… DMしてよかったです本当に。

Rolling Stone Japan 編集部

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