ベルウッド・レコード設立者と共に、70年代初期の高田渡を振り返る

自転車に乗って (ファンキーヴァージョン) / 高田渡

田家:ベルウッドからの第一作アルバム『ごあいさつ』の中の一曲。実はこのアルバムにはもう一曲「自転車に乗って」があって、そちらはシングルにもなっているオリジナル版です。でも、三浦さんが選ばれたのはファンキーヴァージョンですね。

三浦:これはワケがありまして。オリジナル版の方ははっぴいえんどが演奏しているんですけど、あれは大滝さんがベース、細野さんがピアノと何かをやってるんですよ。それはそれでいいんですけど、漣ちゃんが自分のアルバム「コーヒーブルース」でシングル版の方を自分でやってるんだけど、漣ちゃんがすごいのは「自転車に乗って」の前に神長瞭月というバイオリン演歌の人が歌ったハイカラ節を入れてるんですよ。当時僕は教養課っていうところにいて、長田暁二さんという僕の上司が明治大正の歌とか、舞踏歌謡みたいな古い音源を集めていて。そこに神長瞭月のハイカラ節があった。当時は自転車がハイカラなものだったので、自転車節とも呼ばれていたらしいんですよ。渡さんはそれを知っていて、ハイカラ節を「自転車に乗って」という歌詞にしたんですね。

田家:それを高田漣さんは自分で生かして「コーヒーブルース」で歌ってたんですね。

三浦:すごいですよね。そっちの方は1971年のシングル盤として世に出ているので、僕はティン・パン・アレイと矢野顕子さんがやった方をかけようと。

田家:今お聞きいただいたのは、ティン・パン・アレイと矢野顕子さんが演奏したバージョン。1972年の『フォークギター:ベルウッドギターの楽しみ』というアルバムに入っていた。

三浦:そうなんです。僕の好きなレーベル「フォークウェィズ」が、よくギターの教則本を出してたんですよ。それに倣って、中川イサトさんと村上律さんに教則本をやろうと言って出来た時の音源だったんです。

田家:三浦さんが最初に仰った師匠の小室等さんとも、その教則本で出会ったという。

三浦:そうです、小室さんの教則本とイサトさんの教則本の二種類があるんですよ。

田家:そういう背景もこの選曲にありました。お聞きいただいたのは「自転車に乗って (ファンキーヴァージョン) 」でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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