ベルウッド・レコード設立者と共に、70年代初期の高田渡を振り返る



田家:この曲を選ばれた理由は?

三浦:ベルウッド・レコードは1972年に立ち上げたんですけど、その前の1971年にプレ・ベルウッドの時代があって。そこでシングル盤が3枚出ているんです。4月1日に小室さんの『雨が空から降れば』、同じ日にはっぴいえんどの『12月の雨の日』。それと5月20日に高田渡さんの『自転車に乗って』。アルバムも5月10日に小室さんの『私は月に行かないだろう』、6月1日に高田さんの『ごあいさつ』。それで、11月20日にはっぴいえんどの『風街ろまん』。だから1971年は、僕はこの3組をずっとやっていたんですね。渡さんは、大滝さんも色々なところに書いていますが、最初からはっぴいえんどはすごいと言っていた人で。僕が渡さんにアルバムを作ろうと声をかけて、最初の打ち合わせは、僕が尊敬する早川義夫さんと渡さんと3人でミーティングをしたんです。そこで渡さんからの条件が一つ、はっぴいえんどとやりたいと。

田家:渡さんの方からの条件だったんですね。

三浦:それで最初にスタジオに集まって、渡さんを囲んで車座にはっぴいえんどが並んで。打ち合わせしながら音を出したというのが印象に残っていて、その最初の音が「しらみの旅」だった。だからこれは、僕にとって絶対に欠かせない曲なんです。

田家:ベルウッドのレーベルのマークがありましたが、あれは高田渡さんのお兄さんがデザインされたんですよね。

三浦:そうです。ベルウッドは小室さんが付けた名前で、マークは渡さん、サウンドははっぴいえんどで。ありもので間に合わせたという感じです(笑)。

田家:ありものにしては前例のない人ばかりでしたけどね(笑)。お聞きいただいたのは、高田渡さんの1971年のアルバム『ごあいさつ』から「しらみの旅」でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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