ブルース・スプリングスティーンの名曲ベスト40選

最新アルバム『レター・トゥ・ユー』をリリースしたブルース・スプリングスティーン(Photo by Danny Clinch)



23位→21位

23位 「ランド・オブ・ホープ・アンド・ドリームズ」/『レッキング・ボール』(2012年)収録



1999年にEストリート・バンドを再結成したスプリングスティーンは、ただ昔を懐かしむだけのコンサートはしないと心に誓い、再結成後の初コンサートをこの新曲で締めくくった。聖人と罪人、売春婦と博打打ちを乗せた列車を歌うゴスペル調の曲だ。その後14年間、ほとんど全てのコンサートのハイライトとして欠かせない楽曲となったこの曲が初めて正式にリリースされたのが、2012年のアルバム『レッキング・ボール』だ。「全く新しいEストリート・バンドを示すのにふさわしい曲だった」とヴァン・ザントは言う。「この間の夜はこの曲で始めたら、スタジアムは大盛り上がりさ」

22位 「ダンシン・イン・ザ・ダーク」/『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』(1984年)収録



プロデューサーのジョン・ランドーが『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』向けに用意された楽曲を聴いた時、何かが欠けていると感じた。「シングル用の曲が見当たらないというので、“ダンシン・イン・ザ・ダーク”を書いたんだ。思い通りのポップな曲に仕上がった。もしかしたら少し行き過ぎたかもしれない」とスプリングスティーンは言う。キラキラとしたサウンドのシンセサイザーを中心とした曲調の裏には、自暴自棄になった主人公のストーリーが隠れているが、いずれにしろ完全に新しいファンを掴むことに成功した(特に、当時20歳だったコートニー・コックスをステージに上げてダンスするMVが受けた)。そしてスプリングスティーンのキャリアの中で最も成功したシングル曲になっている。「やり過ぎだと思うほど手が加えられた曲だ」とヴァン・ザントは言う。「初めて聴いた時は、気に入らなかった。ずっと後になってから好きになれたよ」

21位 「アイム・オン・ファイア」/『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』(1984年)



私が初めてブルース(スプリングスティーン)と出会ったのは、彼の1stアルバムがまだ世に出る前で、私の1stアルバムがちょうどリリースされた頃だった。彼の初期の楽曲を聴いたのは、ラジオからではなかった。私の妻が「ぜひ聴いて」と言って聞かされたのが最初だ。確か「57番通りの出来事」だったと思う。彼は大ヒットして名前が世に知られる前に、2枚のアルバムを出していた。彼はアーティストとして多くの転換点と覚醒があった。そしてこれまでにもたくさんの驚きを与えてくれている。

「アイム・オン・ファイア」は、彼の楽曲の中でも最も親しみやすい曲のひとつだと言える。決して高飛車な態度でなく、深い欲求に根ざした曲だ。ドラムは(スネアを)クロススティックで叩いている。「俺は燃えているぜ」と歌いながらも、いつもの筋骨隆々の力強いプレイは跡形もない。パフォーマンスには独特なパワーを感じる。彼の内に秘めたパワーだ。肉体的なパワー全開でプレイする人間が、こんなにも抑制された音楽を奏でるとは驚きだ。素晴らしい。

「(同じアルバムに収録された)“マイ・ホームタウン”も同様だ。もとを辿れば“アトランティック・シティ”から始まっている。世の中にはいろいろな人間がいて、自分の故郷はいつまで経っても自分と共にある、ということを理解させてくれる」

「涙のサンダーロード」や「明日なき暴走」は対照的で、もっと成長して部外者でいることが許されず、誰とも関わらなければならない。そして自分の車の中にいる時だけが救いだなどと考える。そこで彼の空想上の勇敢さが全力を発揮する。「アイム・オン・ファイア」は、シンプルに美しく描かれた絵画のようだ。彼には、少ない言葉で多くを伝える才能がある。

ブルースが俳優をやってみようと思わないことが不思議だ。しかし今彼がしていることは、それ以上だと言える。実際に誰かになりきって演じている。彼は一連の作品を通じて、演じ続けているのだ。Text by Jackson Browne(ジャクソン・ブラウン)

Translated by Smokva Tokyo

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