ブルース・スプリングスティーンの名曲ベスト40選

35位→33位

35位 「タファー・ザン・ザ・レスト」/『トンネル・オブ・ラヴ』(1987年)収録



『トンネル・オブ・ラヴ』ツアー中のステージで毎晩演奏されるたびに、この繊細なバラード曲は、スプリングスティーンと後に妻となるパティ・スキャルファとの息の合ったデュエット曲へと生まれ変わった。「それまでのキャリアで、この手の曲が書けたことはなかった。知識も洞察力も経験もなかったんだ」と当時のスプリングスティーンは語っている。シンプルで緊張感のある「タファー・ザン・ザ・レスト」は、感情的に傷つけあってきたカップルがバーで飲みながら、お互いにこれからは変わっていくだろうと期待する様子を描いている。「この曲は、マッチョな口調で繊細な内容を歌っている点がユニークだ」と、アーケイド・ファイアのウィン・バトラーは言う。「しかしやはり、ライブでのパティ(スキャルファ)とブルースのデュエットが最高だ」

34位 「アダムとケイン」/『闇に吠える街』(1978年)収録



「作り話ではない」と、自分の父ダグラスとの確執について歌った数々の曲についてスプリングスティーンは明かす。ダグラスは内気な労働者階級の人間で、息子のブルースと同様、うつ病に苦しんでいた。「アダムとケイン」は、ヘヴィなグルーヴとスプリングスティーンの情熱的なギタープレイをフィーチャーした強烈な曲だ。「他人の過去の罪に対する報いを受ける運命にある」など、部分的にエリア・カザン監督の映画『エデンの東』(1955年)にインスパイアされた強烈な歌詞は、聖書に出てくるような父子の緊張感を思わせる。1998年にこの世を去ったダグラスは生前、息子の作品の中でどの曲が一番のお気に入りかと尋ねられ、「俺のことを歌った曲さ」と答えている。

33位 「夜の精」/『アズベリー・パークからの挨拶』(1973年)収録



デビューアルバムの制作にあたってコロムビア・レコード社長のクライヴ・デイヴィスは、もっとラジオ受けする楽曲が必要だとリクエストした。するとスプリングスティーンはすぐさま「光で目もくらみ」と、グリージーレイクへと逃れる少年たちを歌ったティーンエイジのおとぎ話の2曲を作った。『アズベリー・パークからの挨拶』の中でも、クレモンズのサクソフォンがほぼノンストップで流れる「夜の精」が、最もEストリート・バンド(当時はまだバンド名がなかった)のその後の方向性に近い。しかしアルバムの最後のセッションに入るまで、クレモンズは行方をくらましていた。この曲のスウェイするベースラインは、スプリングスティーン自身が弾いている。

Translated by Smokva Tokyo

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