佐野元春と振り返るTHE COYOTE BANDの軌跡



田家:2017年7月に発売の17枚目のアルバム『MANIJU』に収録の「禅ビート」。

佐野:この曲が入ってる『MANIJU』っていうアルバムは今のところ僕らの最新作だ。このアルバムができたとき、THE COYOTE BANDは、佐野元春の80年代からの過去を更新したと確信した。

田家:『MANIJU』について色々な方が評論されていますが、渡辺享さんがいい表現を使っていたんです。モダン・クラシックって言われてたんですね。

佐野:確かにね。自分は60年代、70年代のポップロックで育ってきた。そこにはアイデアの宝庫がある。懐かしいようで新しい、そんなサウンドがいい。でも誰もができるわけじゃない。THE COYOTE BANDとだからできるんだ。

田家:「禅ビート」っていう言葉は、どんな風に出てきたんですか?

佐野:禅ビートってどう?

田家:日本のロックだなと思いました。東洋のロックだなと。

佐野:そうだね。東洋のセンスを持っているロック。そもそもロック音楽は欧米がオリジナルだ。でも今じゃユニバーサルな音楽になっている。演奏の形態は欧米のロックンロールがフォーマットになっているけど、それを超えてユニークなサウンドがあちこちで生まれている。欧米の連中もそれを楽しんでいる。

田家:『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』のプロデューサーであるコリン・フェアリーさんが佐野さんの音楽の中にオリエンタルがあるというお話をされていて。「禅ビート」はそういうものと重なるものですか?

佐野:そうじゃないかな? 僕自身は気が付かないけど、内なる禅的なものって最初からあるからね。それは表現していくうちに自然と滲み出てくるもので、それを止めるものはないよ。

田家:『MANIJU』というのは仏教用語ですね。

佐野:そうらしいね。一度お坊さんに会って詳しいこと訊いてみたい。

田家:言葉だけイメージとしてあったものなんですか?

佐野:この放送をお坊さんの方が聞いていたら、是非お話を聞かせていただきたいと思う。

田家:ここで、10月7日発売のベストアルバム『THE ESSENTIAL TRACKS MOTOHARU SANO & THE COYOTE BAND 2005 - 2020』に新曲があるということで、是非お聴きいただこうと思います、「エンタテイメント!」

Rolling Stone Japan 編集部

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