佐野元春と振り返るTHE COYOTE BANDの軌跡



田家:2013年3月発売のアルバム『ZOOEY』に収録、ベストアルバム『THE ESSENTIAL TRACKS MOTOHARU SANO & THE COYOTE BAND 2005 - 2020』より「詩人の恋」です。ロマンチックなタイトルですね。この全曲解説の中には、思いがけないことが書いてありました。仮ボーカルを収録した時に風邪をひいていたため、声がいつもと違ったと。

佐野:そうそう(笑)、風邪をひいていた。鼻が詰まった声だったんだけど、一緒に仕事をしていた友人が「いいんじゃない?」って言ってくれて、僕もいいかなと思った。

田家:この詩人という言葉に対しては思い入れもおありかなと思うんですけど。

佐野:世の中には確かに詩人と呼ばれる人たちがいる。でも僕自身は自分が詩人とは思っていない。

田家:でも詩人を主人公にすることで伝えたい表現があるという。

佐野:これもひとつの物語だ。「詩人の恋」という映画の主題歌って感じかな。

田家:僕は詩人ではない、ミュージシャンであるということなんですか?

佐野:僕は佐野元春。肩書きはないね。

田家:アーティストっていう言い方はありますけども、さっきお話したシナリオや映像に対してのイメージ、音楽に対しての表現者という意味では佐野さんはまぎれもなくアーティストなんだろうな、と思うんですよね。

佐野:何かものを作る人間、作家だね。表現のフォーマットはロックンロール。一番の得意だ。

田家:ロックンローラー・佐野元春という言われ方は……。

佐野:なんか変。

田家:アーティストというのも。

佐野:やっぱりしっくりこない。僕は佐野元春。

田家:なるほどね。アルバム『ZOOEY』はTHE COYOTE BAND2枚目のアルバムです。

佐野:このアルバムが出るまで4年くらい経っていた。僕とバンドはその間、日本中のライブハウスを中心に演奏に明け暮れていた。毎晩のライブを通じてだんだんバンドが良くなっていった。その後に出したアルバムが『ZOOEY』だ。

Rolling Stone Japan 編集部

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