キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」当事者たちが明かす50年目の真実

キング・クリムゾン(Photo by DGM Archives)


曲名に込められた「近未来の表現」

たとえば、「血まみれの棚(blood rack)」は、彼いわく「肉が山とつまれた肉屋の店頭を連想させるはず」だという。他方、最後のヴァースに出てくる「死の種(death seed)」は、シンフィールドが「悪事の報い」と呼ぶところの、エージェント・オレンジ[ヴェトナム戦争時に米軍がヴェトナムに投下した枯葉剤]のもたらしたものを暗示している。

「ナパームの炎に陵辱される無垢の人びと」は、彼が当時おかれていた状況と、戦場から届けられた光景の対照からきた表現だ。「私があたりを見回しても世界は無垢であるのに、ニュースで私が目にする次の画像は、男たちが火炎放射器で水田を襲撃し、村を焼き落としている様子を映し出す」と彼は語る。「現実のおぞましさを超えるものにはできなかった」

オープニングの一行で言及される「猫の足(cat’s foot)」はややわかりにくいが暗さには事欠かない。シンフィールドは「猫の手足(cat’s paw)」というフレーズを参照しているという。フランスの寓話「猿と猫」で有名になったものだ。「かつて、火の中になにか放り込んだり、火の中に入れた栗を取り出すときに猫の手を使ったという」とシンフィールドは語る。「だから、他の誰かの悪い目的のために使われる人のことを猫の足というわけだ」

いくつかのラインは、彼によると――鮮やかにも奇妙な「脳外科医師が『もっとだ』と叫ぶ(neurosurgeons scream for more)」のように――「純粋に音声学的なもの」だという。つまり、歌われたときによく聴こえるフレーズということだ。「パラノイアの毒々しい扉(paranoia’s poison door)」や「政治家を火葬する薪の山(politician’s funeral pyre)」といったラインに現れる頭韻も、シンフィールドによると、「『p』をたくさん続けて置いてみると、歌われたときには、まるでマシンガンのように聞こえる」。

必要もないのに人類が手にしてしまったものとは彼にとってなんだったのか――これは「彼はなにひとつ得られなかった、彼が本当に必要なものは(nothing he’s got, he really needs)」という締めくくりのラインのことで、彼によればこのラインは当時読んでいたSF小説にインスパイアされたものだろうとのことだ――と問われ、シンフィールドはこう答えている。「ジーザス、どこから始めればいい? 人類が手にしているものはすべて、彼が必要としていないものであり、求めていないものだった。なにもかも、より大きく、より偉大ななにかをつくるために発展していったが、彼はそれを必要としていなかったし、それは彼自身を破壊するものでさえあった」



楽曲の象徴的なタイトル・ラインは、(シンフィールドが)ある日マクドナルドと一緒にテレビを見ていたときに思いついた。

「『おお、なんてことだ、私たちはみんなおかしくなっていってるぞ』ということを表現するフレーズを探していた。世界中が本当におかしくなりつつあった」と彼は語る。「それを表現する必要があったし、いい感じに聞こえる必要もあった。よく聞こえるっていうのが大事だった」

彼いわく、「スキッツォイド(schizoid)」という単語がどこから来たのか「まったくわからない」のだという。「スキゾフレニアについて学んでいたわけでもないしなにか知識があったわけでもない」とシンフィールドは認める。「私にとっては、『スキゾフレニア』は単に狂った人びとの集団を表す言葉に思えた。それでなぜ『21世紀』かって? それもわからない。『20世紀』より響きがよかったんだ。ふさわしい響きがあった。多くの人々が狂気に陥るのを表現するのにふさわしい響きが」

「天啓だ。まさに予言というべきか」と彼は続ける。「それで私は最終的に、近未来の表現としてそれを入れたんだ。世界がそちらの方向に進んでいるとね」

マイケル・ジャイルズの見方では、楽曲の歌詞は「人びとに対する荒涼とした、不吉で、不穏な警告だった。人間の営みが持つまったくの無知、傲慢、強欲、そして愚かしさに気づいて目覚めよ、という」

Translated by imdkm

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