キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」当事者たちが明かす50年目の真実

キング・クリムゾン(Photo by DGM Archives)


最初のヘヴィメタル、まったく新しい世界

楽曲のほとんど聞き取れないイントロは、ほんの30秒足らずほどの長さで列車の警笛のように聴こえるが、ウェセックスでバンドがたまたま見つけたとある楽器から鳴っている。

「スタジオにはリードオルガンがあって、たしかパイプを駆動させる送風ポンプを備えていた」マクドナルドは思い返す。「あの音はなにかというと、あれ[オルガン]だ。鍵盤に自分の前腕を載せていた。パイプの中に風を送るふいごはそんなに強くない――基本的にふつうに演奏するのに使われるものだから。腕を鍵盤の上に置くと、貧弱なふいごにとっては完全に過負荷になってしまって、ぜいぜい言うようなこういう感じの音が出る」

「私たちはみんなそのまわりに突っ立っていた」グレッグ・レイクはクラシック・ロック誌でシド・スミスにこう語った。「まるで『宝島』のなかからやってきたみたいなものだった。あの話でも、みんな宝石や財宝の入った箱の周りに突っ立っている。……床から叫び声をあげるこのひどい顔。そいつが私たちに言ったのは『スキッツォイド・マン』の一言――私たちが制作中だった曲そのものだ。あたかも魔法のようななにかが起こっているかのようだった」

アルバムのリリースにあたり、バンドはいくつかの収録曲に副題を付け加えた。「なぜそんなことをしたかといえば……出版上の事情。そうしなかったら5つのタイトルしかない状態だったし、それでは短すぎた」マクドナルドは語る。それで、オープニング・トラックは「21st Century Schizoid Man (including ‘Mirrors’)」になった。

「なにかあの複雑な曲の中盤をあらわす一言が必要だった。鏡はいつでも複雑だ。お互いを反射し合うから」シンフィールドは付け加えた言葉についてこう語る。「もし2枚の鏡を持っているなら、鏡の世界を手に入れたことになる」



キング・クリムゾンのデビュー作のなかで耳にすると、「スキッツォイド・マン」は鮮やかなコントラストをなしている。「スキッツォイド・マン」の対には、牧歌的なバラードである「風に語りて」や「ムーンチャイルド」があり、不穏で壮大な「エピタフ」やタイトル曲がある。アルバムのリリース時、ローリングストーン誌の『クリムゾン・キングの宮殿』に対する好意的なレビューは「スキッツォイド・マン」を「軋むようでカオティック」と評し、「風に語りて」への「唐突で息を呑むような」つなぎを賞賛した。一方、メロディ・メーカー誌はオープニング・トラックを「容赦なくエキサイティングだ」と述べた。

「演奏するのがとても難しく、とても恐ろしかった」とフリップは「スキッツォイド・マン」のリリースから5年後に振り返った。1995年には、フリップもこの曲をロックの新時代を予言していたと振り返るようになる。「私にとって『スキッツォイド』は最初のヘヴィメタルだ」と彼は語った。

「私は、自分たちが、ロックとジャズを融合させるという、唯一とは言わないまでも、なにか変わったことをしているのはわかっていた」とジャイルズはこの曲について書いている。「もしかしたらそれは、フランク・ザッパの音楽の一部に近かったかもしれない――私にはわからないが。しかしグレッグの声、ピート・シンフィールドの言葉、ヘヴィ・ロック、そしてフリージャズが組み合わさることで、あの曲はとても特別なものになったし、それまでの音楽とも、1969年の音楽とも違うものになった」

ビル・ブルーフォードは、当時この曲がいかに恐ろしく思えたか強調している。

「他のみんなは『イチクー・パーク』とか『紫色の私の風車』とかについて歌っていた」彼はこう語る。「だからこのことは心にとめて欲しい。『スキッツォイド・マン』の、3つの小さく短い4行のヴァースはすこぶる奇妙だった――もし人びとが『血』とか『神経外科医』とかみたいな言葉で曲を始めようとすれば、こうした言葉はすぐさまイメージを呼び起こす。私たちはより厳しく、より新しい世界にいたんだ」

※筆者のHank Shteamerより:このストーリーのためのインタビューをコーディネートする手助けをしてくれたケイト・アシュリー=ノーマン、デヴィッド・シングルトン、イアン・マクドナルド、ランディ・アレクサンダー、そしてジャッコ・ジャクジクに謝意を捧げる。

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Translated by imdkm

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