キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」当事者たちが明かす50年目の真実

キング・クリムゾン(Photo by DGM Archives)


カニエ・ウェストまで及んだ影響力と先見の明

「21世紀のスキッツォイド・マンはまるであらゆるものをおびただしいほどに繰り返し多重録音したような作品だ。あなたは一聴するなり、凄まじい衝撃に襲われる」。ピート・タウンゼントは、キング・クリムゾンのアメリカでの所属レーベルであるアトランティックによる『クリムゾン・キングの宮殿』の広告にこんなコメントを寄せた。「マーラーの交響曲第8番以来、アナログレコードの中音域に収められたもっともヘヴィなリフに違いない」[訳注:マーラーの交響曲第8番は演奏に必要な編成が巨大であることから「千人の交響曲」としても知られる]



「スキッツォイド・マン」がプログレの領域――キング・クリムゾン唯一の結成以来のメンバーであるロバート・フリップは、今ではこのムーブメントに対して慎重な見方を示しているが――で影響力を誇ったのと同じように、その影響はより遠くへも届いている。オジー・オズボーンからフレーミング・リップス、ガヴァメント・ミュール、ヴォイヴォド、そしてなんと「レイト・ショー・ウィズ・デヴィッド・レターマン」のハウスバンドに至るまで誰もがこの曲をカバーし、バッド・レリジョンのような歯に衣着せぬパンクスも、1990年の「21st Century Digital Boy」でこの曲をもじっていた。2010年にはカニエ・ウェストが先鋭的なアンセム「パワー」で「スキッツォイド・マン」を大々的にサンプリングした――カニエはそのなかで「例の21世紀に生きてるが、そいつに一杯くわせてやる」とラップしている――ことは、この曲の息の長さと影響力のほどをはっきり示している。

【動画】オジー・オズボーンから西村まさ彦、ベッドインまで。「21世紀のスキッツォイド・マン」カバーまとめ



影響を広げると同時に、作者たちの手によって、この作品は進化しつづけてきた。フリップはキング・クリムゾンのサウンドとレパートリーをこの半世紀にわたって何度もいちからつくりなおしてきたが、彼は全く異なるメンバーたちと共に、しばしば「スキッツォイド・マン」に立ち戻ってきもした。この慣習はいまも続いている。2019年6月にSpotifyで解禁されて以来、100万以上の再生回数を叩き出した(※現在は500万回以上)「スキッツォイド・マン」は同年の秋、キング・クリムゾンの50周年ツアーの場を借りて世界中のステージから響き渡っている。その後に控える『クリムゾン・キングの宮殿』の新たなデラックス盤は、象徴的なオープニング・トラックの別バージョンを収録する予定だ。


2015年、日本でのライブ映像

「スキッツォイド・マン」を最初に耳にしてから半世紀経ってなお、ビル・ブルーフォードはそれがもたらした衝撃と先見の明に畏敬の念をいだいているようだ。

「こんなふうに考えてほしい」とブルーフォード。「1968年に、誰かがあるロックグループに音楽作品でヴェトナム戦争を批判しようと持ちかける。それは来たるべきプログレッシブ・ロックやヘヴィメタル、また生まれつつあったジャズ・ロックにヒントを与えるもので、この一曲にこれらすべての要素が詰め込まれていて、短く痛烈な歌詞もついている――『21世紀のスキッツォイド・マン』以上のものができるはずはない」

Translated by imdkm

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