キング・クリムゾン50周年記者会見で明らかになった15の事実

バンドリーダーのロバート・フリップ(前列左)による4時間のインタビューを含む、キング・クリムゾンのプレスイベントからハイライトを紹介(Photo by Dean Stockings)

2019年4月6日のロンドン。インタビューに対して慎重な態度を取ることで有名なバンドリーダー/ギタリストのロバート・フリップは、記者らを前に4時間も語り続けた。デヴィッド・ボウイやジミ・ヘンドリックスとのエピソードから、フリップが自身の率いる伝説のアヴァンロック・ユニットを最高だと思う理由まで、当日の最も印象深い場面を以下に再現する。

ロンドン時間の2019年4月6日午前10時半、ロバート・フリップが口を開く。「本日お集まりの皆さんの目的は存じ上げないが、今日は私自身の話をしよう」と、ギタリストで長年に渡りキング・クリムゾンを率いるバンドリーダーは単刀直入に切り出した。「私の最大の関心事は、我々のことを知らない人たちにキング・クリムゾンを紹介すること。つまり、キング・クリムゾンのライブを観たことのないオーディエンスだ」

おそらく今彼の前にいる人々の中に、キング・クリムゾンを知らないなどという人間は、まずいないだろう。フリップによるレアな記者会見のため、ロンドンのホルボーンにあるオクトーバー・ギャラリーの上階にあるゆったりとしたスペースに、ヨーロッパ各地や北米から約40人のジャーナリストが詰めかけた。2014年以降のフリップは、メディアのインタビューに数回しか応じていない。同年フリップは事実上の引退から復帰し、メンバーを一新したザ・セブン・ヘディッド・ビースト(the Seven-Headed Beast)と呼ばれる大所帯のラインナップで、キング・クリムゾンのライブ活動を再開した。今回の記者会見は、変化を続けるアヴァンロック・バンドの50周年を記念した1年間に渡るイベントの一環として行われた。記念イベントには、1969年の傑作デビューアルバム『クリムゾン・キングの宮殿』のデラックスリイシュー、バンドを記録したドキュメンタリー映画、ロック・イン・リオなどの大規模フェスティバル出演を含む世界50カ所以上でのライブが含まれる。フリップは記念イベントを通じて“未知のファン”を魅了したいと願っている。

紺色の縞のスーツに身を包んだフリップはスタイリッシュなメガネと中折れ帽を粋に決め、まるでレトロなGQ誌から飛び出してきたような姿だった。帽子を取り短く刈り込んだグレイヘアーを露わにした彼は、短い挨拶のあとで紙の束を取り出す。それぞれには出席したライターの名前が印刷されていた。ランチブレイクやクリムゾン関連の告知等を挟んで午前2時間、午後2時間の計4時間に渡り、キング・クリムゾンとしての活動だけでなくデヴィッド・ボウイ、ブライアン・イーノ、ピーター・ガブリエル、トーキング・ヘッズらロックの枠を超えたアイコンたちとも共演してきた伝説のミュージシャンであるフリップは演壇のないステージに立ち、記者らからの質問をさばく。時折ノートパソコンを操りながらシステマチックに組み立てられた講義のように話す姿は、まるでクリムゾン論301を教える大学教授のようだった。

Translated by Smokva Tokyo

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