キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」当事者たちが明かす50年目の真実

キング・クリムゾン(Photo by DGM Archives)


ライブで真価を発揮した「スキッツォイド・マン」

「スキッツォイド・マン」の飛び抜けたポテンシャルは、キング・クリムゾンが1969年4月に最初の正式なギグを演奏しだすなり明らかになった。バンドは既にレーベルの関心をひき、熱狂的なプレスもひきつけていた(「フルハム・パレス・ロードのとあるカフェは、その奥底にとてつもないサウンドを秘めている」とインターナショナル・タイムス誌のコラムニストは書いている。シド・スミスによるバンドの決定版の伝記『クリムゾン・キングの宮殿』で引かれているものだ)。こうした初期のショウの強烈さのおかげで、口コミのバズが広がった。バンドはショウのたび「スキッツォイド・マン」で幕を開け、まったくの静寂からあの曲を始めた――そこには人目を引く視覚的なひねりもあった。

「クリムゾンに関する噂が広まってきていたから、私たちは『スキッツォイド・マン』でこんなふうにショウを始めた。最初は静寂で、次に、ドーン」マクドナルドは思い起こす。「ストロボライトを持っていたんだ。ピーター・シンフィールドが管理していた。それを使って、相対的に暗いところから始めて、すぐ『スキッツォイド・マン』とストロボライトをみんなに向けてぶっ放していた」

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初期の「スキッツォイド・マン」のライブ体験にぶっ飛ばされた者のひとりがスティーヴ・ハケット、その後ジェネシスのギタリストになる人物で、このバンドは進歩的なロックの作曲のベンチマークを自らに課すことになる。

「私たちは本当にあんなものを他に聴いたことがなかった」とハケットは思いおこす。彼は1969年、ロンドンのマーキーで「スキッツォイド・マン」を観た。キング・クリムゾンはその年の春と夏にかけてそこで頻繁に演奏していた。「フリージャズっぽい感性があって、でもロック的な感性でもって演奏されていた。そして、ギターはずっとサックスと対になっていて、とても角のあるアプローチだった。最も興味深かったのは、作品の精緻さだった。ピート・シンフィールドが[照明を]手作業でやっていた。彼は作品を知っていたから、[ストップ・スタートセクションの]静寂の箇所ではブラック・アウトした。すごく効果的だった」

「彼らは最初に姿をあらわすと、演奏しないように鋭く注意を払っていた」とハケットは続ける。「抑制していたんだ。そのおかげで、ダイナミクスはいっそう過激になっていた。演奏が殴ってくるんだ。バンって!」

シンフィールドいわく、バンドに加わる前はDIYのサイケデリックなライト・ショウに手を出していて、それは「ぐるぐる渦巻いたものやシミが壁面を上下にいったりきたりする」ものだったという。しかし彼がクリムゾンに用意したヴィジュアルのセットアップは、赤、緑、そして青の電球をストロボに加えたもので、より簡潔で、音楽と同じくらいがっちりとリハーサルしたものだった。彼が自分の成果を「スキッツォイド・マン」に取り込み調和させることは重大な課題だった。「私はこういうひとそろいのスイッチを持っていて、音楽に合わせて操作することができた」とシンフィールドは語る。「実際の音楽を覚えなくてはならなくて、しかも音楽はとてもトリッキーなものだった。特に中盤の素早いギターリフ。人びとは[照明が]シンクロしてるものだと思っていた。そうじゃない。私が器用な手先で操作していたんだ」



キング・クリムゾンは、彼らの完全に視聴覚的な挑戦を、その年演奏した最大のショウに持ち込むことができなかった。1969年7月5日、ハイド・パークで開催された巨大野外フェスだ。ヘッドライナーはローリング・ストーンズで、何十万もの人びとが参加した。しかし、昼の日差しのなかであっても「スキッツォイド・マン」は人の心を捉えた。

●キング・クリムゾンがストーンズの前座を務めた50年前のライブを回想

「あのギグの最高潮は、オーディエンスが総立ちになって『スキッツォイド』中のイアン・マクドナルドのソロに喝采を送っていたところだった」クリムゾンのローディーだったリチャード・“ヴィック”・ヴィッカーズは、シド・スミスに語った。「巨大な群衆からの叫び声が起こると首筋の毛が逆だったのを覚えている」

「みんな一歩飛び退いていた感じだった」シンフィールドはその日、目にしたあの曲に対するリアクションを回想してこう語った。「あの曲は託された役目を果たしてくれた」

Translated by imdkm

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