キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」当事者たちが明かす50年目の真実

キング・クリムゾン(Photo by DGM Archives)


「スキッツォイド・マン」レコーディング秘話

バンドは既に「スキッツォイド・マン」を、最終的に『クリムゾン・キングの宮殿』に収録されることになる数曲と一緒にレコーディングしようと試みていた。6月、ムーディ・ブルースのプロデューサーであるトニー・クラークと共にだ。しかしセッションはご破算になった。マイケル・ジャイルズはクラークについて「彼は私たちを管理するのに関心があったのだろう」とシド・スミスに語っている。

7月の下旬、バンドはロンドンのウェセックススタジオに自分たちのデビュー作を制作するため再集結した。「スキッツォイド・マン」は彼らがそのセッションで録音した最後の曲で、8月1日の録音だ。

「私たちは全部ワンテイクでやった。最初から最後まで、エディットはない」マクドナルドは回想する。「後から数箇所オーバーダブしたところもあるが、ベーシックなトラックは私たち4人が最初から最後までワンテイクで演奏している。だから、『スキッツォイド・マン』を聴くのにかかる時間というのは、私たちがそれを録音するのにかかった時間ということだ」

フリップは彼のギターソロを8月4日に録音した。長く、流動的なサステイン、ホーンのようなトリル奏法に鋭い唸りを伴いつつ、そのパッセージはほとんど無重力的で、その下で激しくうごめくリズムレクションとは心をひきつけるコントラストをつくりだしている。

1974年のギター・プレイヤー誌でソロの素早い動きをどうやって実現したかについて語る中で、フリップは「すべてダウン・アップでピッキングした」と述べ、クロスピッキングと呼ばれるバンジョーに由来するテクニックについて解説している。彼は13歳ぐらいでこのテクニックを指導者のドン・ストライクから学んだのだという。ストライクはグレッグ・レイクにも教えていた人物だ。

そして、マクドナルドがダブル・トラックで炸裂する長大なサイケデリック・ノイズ・ジャズで続いた。彼が認めるように、該当する部分はアルトサックスによる2つの別々なソロが互いに重なり合ったものだ。彼は、自らが求める不安に満ちた効果を獲得しようと数回にわたって試行し、注意深く演奏を行った。

「ソロを数回演奏したのを覚えている。自分のやり方に満足いかなかったから、しまいにはスタジオの床でとても落ち着きようのないよじれた姿勢になった」とマクドナルドは語り、うずくまった姿勢を再現する。「それであのソロを演奏した。不安な感じが欲しかったから。……全部あまりにスウィートでメロディアスな演奏をしてしまっていた」

「録音するトラック数が足りなかったので、サックスのソロが凄く唐突に終わるのがわかるだろう」と彼は付け加え、ソロの「フッ」と終わる様子を口真似する。4分22秒ごろに聴かれる部分だ。「ロバートのギターを収めるスペースが必要だったから」

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グレッグ・レイクとロバート・フリップ

ポストプロダクションのタッチは楽曲の荒涼として未来的な雰囲気をつくりだす鍵だ。ミキシングの過程で、マクドナルドいわく、バンドはレイクの歌声に甲高いディストーションを加えた。

「ヴォーカル[の効果]のためには、実際コントロール・コンソールに過入力しなければならなかった。……するとヴォーカルが完璧に電子的に歪む」マクドナルドは語る。「実際のところ、コントロールボードにそういうことをするのは非常に良くないことだろう。しかし私たちは実際にそうした。ミキシング中にヴォーカルの信号を突っ込んで、エッジーで不安に満ちたサウンドにしたんだ」

もうひとつ、トラックにうっすらと付け加えられたのは、 ヴァースのあいだ右チャンネルに聴こえる奇妙なシュッという音だ。ギターのコードが鳴るたびに同時に鳴る。この効果を得るために、ジャイルズがややオープンにしたハイハットでリズムを刻み、マクドナルドがミキシング・ボード上でサウンドを操作した。「私はコントロール・ボードのイコライザーを動かして、ハイハットの一打ごとに異なるトーンになるようにした」マクドナルドはこう語り、金属的なパルスの口真似をする。

Translated by imdkm

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