TAKUROが語る民主主義、令和元年のアルバム『NO DEMOCRACY』を振り返る

TAKURO

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2023年2月はGLAYのTAKUROを1カ月間に渡り特集していく。

田家:FM COCOLO J-POP LEGEND FORUM案内人・田家秀樹です。今流れているのは去年の12月14日に発売になりましたGLAYのTAKURO さんの3枚目のソロアルバム『The Sound Of Life』の1曲目「Sound of Rain」です。今月の前テーマはこの曲です。

関連記事:GLAY・TAKUROがスティーヴ・ルカサーと対面「音楽の世界で自分たちらしくあるために」

今月2023年2月の特集は、GLAYのTAKUROさん。GLAY のデビューは1994年、来年が30周年。平成の音楽シーンのど真ん中を駆け抜け、歴史に残る数々の記録を打ち立てたモンスターバンドのリーダー、そしてギタリスト。人々に愛される名曲の数々を産んだ希代のソングライターであります。1971年生まれ、昭和世代ですね。今51歳、今年52歳です。

今週は2019年、令和元年10月に発売になったGLAYの15枚目のオリジナルアルバム『NO DEMOCRACY』についてTAKUROさんにいろいろ聞いてみようという特集です。アルバムが発売される事前に僕らのところに伝わってきたのは、TAKUROが言葉にこだわったアルバムらしいという情報でありました。今週から令和になってからのGLAYの作品を聞いていこうということなんですが。

TAKURO:もう令和5年ですもんね。コロナと並走した令和ですが、それでもいろんなことがありました。

田家:2019年4月30日までは平成で、2019年5月1日から令和になった。2019年はGLAYがデビュー25周年だった。ある種の時代の変わり目、元号の変わり目に自分たちのアニバーサリーが重なったって意識は当時ありました?

TAKURO:自分たちのデビュー云々はないですけど、やっぱりGLAYとして生きてきて、昭和、平成、そして令和、三元号を跨いだなって。どんなに優れたアーティストも歴史や記憶は買えない。日本の片隅で三元号に渡ってやっているロックバンドっていうのも、なんならこれから減る一方ですから、何かしら自分たちの運命めいたものや責任だったり、今後やるべき道みたいなものを考えていた時期でしたね。

田家:先週いろいろお聞きしたソロアルバム『The Sound Of Life』も、ある種の時間が一つのベースになっているって話がありましたね。

TAKURO:遠くの空の下で戦争があって、今もそれが続いている。しかも、それは他人ごとではなく、自分たちのもとにも通じている。人間同士の争いが嫌で、ある種音楽の世界に逃げた僕は、そこで時間というものを改めて考えたんですよ。見つめてみたといいますか。時間って何だろうと思ったとき、大自然の中に身を置いたとき、そんなものはないんだ、時間が過ぎるんじゃない、人間が勝手に生まれて朽ちていくだけだと。時間は人間だけのためのルールであって、人間でしか通用しない一つの概念ですよね。野ウサギも太陽も木々もそんなこと知らずに生きている。この地球上の生物の中で、何かに縛られて生きている人間みたいなものから解放されたくて『The Sound Of Life』を作ったというのもあります。いわゆる戦争という究極の悪行の中でもね。

田家:そういう人が2019年、令和という新しい元号になったときに作ったアルバムがで『NO DEMOCRACY』だった。25周年の元旦に、DEMOCRACY宣言という公約を発表していました。

TAKURO:あの頃は、いわゆる自分が思うところの民主主義というか、全ての人々が当たり前に持つ権利なんだろうって感じで捉えて。バンドも民主主義であって、誰か1人のカリスマが引っ張っていくような時代じゃないって思いもあったんですけど、今見るとちょっと予言めいてて怖いですよね。今、地球の中で民主主義と非民主主義を比べると、非民主主義の国の方が多いですよね。ある意味、民主主義は人類最高の発明だったんじゃないの?って、TAKUROおじさんはそう思ってたんだけど、これ本気で考えて行動しないとそうではなくなる、そんな世界がすぐそこにいるのかもって。恐れみたいなものは感じますね。あるべき権利が行使されず独裁者の野望によって何もかも奪われていくみたいな。

田家:デモクラシーは今、風前の灯火ということで。

TAKURO:『NO DEMOCRACY』ってよくつけたなって。おっかな。

田家:アルバム『NO DEMOCRACY』最後の曲「元号」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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