TAKUROが語る民主主義、令和元年のアルバム『NO DEMOCRACY』を振り返る



田家:アルバム『NO DEMOCRACY』の8曲目「戦禍の子」をお聴きいただいていますが、今どんなふうに思いますか。

TAKURO:やっぱり子供たちがひどい目にあうのはいたたまれないですね。

田家:「愛は役目を終えたのか」って歌詞があって、TAKUROさん28歳の99年、『HEAVY GAUGE』で愛ってことに対しての一つの懐疑を描いている。

TAKURO:圧倒的な愛はありますよね。それは何千年もそう言われているから多分そうなんでしょうけれど、それでも愛の力が及ばない現実だったり事件・事故がある。愛が絶対的なものでないかもしれないと疑い出したのは『HEAVY GAUGE』ぐらい。愛とか何とか浪花節はいいから、パンを渡した方がいいんじゃないか? それが盗まれたパンであろうとなかろうと。そういう人生の矛盾みたいなものをすごく考えたのは30歳手前ぐらいかな。それまでは夢イエーイ、20万人ライブイエーイ、みたいな感じだったんだけれども。20万人ライブを改めて見直したときに、お客さんが5時間も6時間も灼熱のアスファルトの上で待たなければならない、帰るのも来るのも大変。俺たちは何をやりたかったんだろうって。歴史にはなったけれど、俺たちが望むホスピタリティって何だろうとかね。そういうことも含めて、そこである種GLAYの少年期が終わるというか。その後、それぞれのメンバーも家庭を持ったり父親になったりの中で、音楽が言っていた愛こそが全てみたいなものから1回卒業しなきゃいけないというのかな。ロックから学べることは30歳ぐらいで終わったと思っていて。そこからは、もっと大きな社会とか、人とのぶつかり合い、付き合いの中で人生を学ぶってことが多くなった。「戦禍の子」のメロディ自体は19の頃に作っているんです。元々「ハローニューヨーカー」っていうあほなパーティーソングだったんですけど(笑)、今回アルバムを制作にあたって歌詞を書き変えて。「戦禍の子」になったのはシリアの難民の子をドイツが受け入れ、他の国が拒否しみたいなニュースだったと思うんです。

田家:TAKUROさん48歳のときのアルバムってことですもんね。順番で言うと、次の曲はアルバム『NO DEMOCRACY』の中で最初に発表された曲でもありました。

Rolling Stone Japan 編集部

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