TAKUROが語る民主主義、令和元年のアルバム『NO DEMOCRACY』を振り返る



田家:GLAYの曲の中で「シケモク」が歌われた唯一の曲ですかね(笑)。

TAKURO:これは、桑田佳祐さんの『孤独の太陽』と長渕剛さんの『LICENSE』が合体したらこうなったっていう、俺の中での2大リスペクトアルバムから産み落とされた子供みたいな曲ですよ。

田家:滑稽なほどの昭和って感じもしますけど。

TAKURO:よくメンバーが許したなって(笑)。それ全然気にしないんですよね、みんな。

田家:でもアルバムを作る前にTAKUROさんが言葉にこだわってるアルバムだってことはみんなの共通認識だったわけでしょ?

TAKURO:そうですね。デモの段階で歌詞がここまで昭和感出したかどうかはわからなくて。

田家:そういう昭和の青春っていうのはある種、漫画っぽいものとしてTAKUROさんの中に残ったりしているんですか?

TAKURO:漫画どころじゃなくて、昭和50年代60年代、一番感受性が強い頃に生きてるので。それこそ友人とかも言いますけど、いろんな音楽を聞くけど、最終的に自分が十代の頃に聞いた音楽に戻ってしまう。それはすごくよくわかるような気がしていて。僕らが20代を過ぎて今があるように、20代の人たちは今の20代を思いっきり生きているじゃないですか。一つの問題にぶち当たったとき、どうチョイスするかも悩んでいる。僕らはいくつかの体験を経て、とっくにわかってるじゃないですか答えが。現代の20代のポップソングを聞いてもあまり響かないのは、1回自分たちが通ってきた道だから既視感があるからでしょうね、きっと。そのことを認められたとき音楽家としてはちょっと楽になりました。何も知らないことに挑む曲はとっても魅力的だけど、答えがわかっていてわかったふうに書くラブソングはやっぱりつまらないですよね。一晩会えないだけでも会いたくて会いたくてってあの頃と、今親としての立場、仕事としての自分の立場ってものを全うしようとしている僕らには、20代の一晩会えなくて涙するってことはもうないでしょう。有り体に言うと、自分が生きてきた成長なのかもしれないし、それが年を取るっていうことなのかもしれないし。そのことを受け入れようと思ったときから、ソングライターとしてはめちゃめちゃ書くことが増えて。もうスランプとかないですね。題材がもう列をなして待っているので。

田家:その入り口の一つに、このアルバムがあったということなのかもしれません。

Rolling Stone Japan 編集部

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