「八神純子特集」、東日本大震災を経て誓った“第二の音楽人生”を語る





田家:まさに一歩を踏み出した人の歌ですね。被災地ではどんなところで歌ったんでしたっけ?

八神:まず最初は避難所で歌いました。仮設住宅前の広場で歌ったり、まだ瓦礫が整理されていないときにも歌ったり。漁師さんたちがかなりへこんでいたので、魚を入れるようなかごをひっくり返して座って、その前で歌ったり、どこでも歌っちゃいました。商店街で歌ったときにはカラオケを持っていったんですけども、向こうにあったCDプレイヤーが壊れていたんです(笑)。まいったなと思って、「今日はアカペラでいきます、みなさん手拍子で!」って(笑)。手拍子で「みずいろの雨」を歌ったときもありました。

田家:そういう経験の中、当時のインタビューで「私は生まれ変わった」という話をされていたと思うんですよ。

八神:そのとき自分に誓ったのは第二の音楽人生なので、もうやりたいようにやるわよって。本当はそうじゃなきゃいけなかったんですけど、例えば、いつもどこかのプロダクションにいたり、私の仕事をとる人がいてくれたりして。私が線路を走るんですけど、自分で敷く線路じゃなかったんです。

田家:誰かが線路を敷いてくれていた。

八神:そうです。だけど、このときは自分で線路を敷くしかなくて、そこから私の新たな人生が始まって、自分の人生は自分がリーダーでいることが1番大事なんだって思い始めた。上手くいかないことがあっても、自分がリーダーでいれば次は必ず上手くいくし、前よりも絶対に階段を上がれるんだなってことも1つ1つの積み重ねで徐々に分かっていくんです。

田家:そんな中で生まれたのが日本での活動再開最初のアルバムであります。今日は純子さんが選んだ曲をお送りしておりますが、その中から「約束」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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