高田渡が探った自分のルーツ 佐久間順平とともに振り返る

バーボン・ストリート・ブルース / 高田渡 & ヒルトップ・ストリングス・バンド

田家:高田渡さんはこのアルバムのライナーノーツに、いつも8~10くらいの楽器を持ち歩いて、マネージャーなしで日本中を旅したとお書きになっていましたが、そうだったんですか?

佐久間:そうですね。今この曲を聞いても、元気のいいテンポでやってますね。若いからできたって感じです(笑)。

田家:お聞きいただいたのは、1977年のヒルトップ・ストリングス・バンドのアルバムからタイトル曲「バーボン・ストリート・ブルース」でした。

BGM 風 / 林亭

田家:1993年に徳間ジャパンから出た渡さんのアルバム『渡』から「風」。お聞きいただいているのは、林亭の2009年のアルバム『風は歌う』の中の曲です。これは佐久間さんが歌われてます。

佐久間:渡さん自身も大事にしていた曲で。渡さんはとつとつと静かに歌うんですけど、こういう風にアレンジ変えたら林亭でも歌えるなと思って変えてみました。

田家:曲の作詞はさんという方で、曲がイギリス民謡。朝倉さんはコピーライターの方なんですね。

佐久間:そうなんですよ。渡さんは若い時に岐阜から出てきて、ある種の共産党の活動に近いセクションにいたんですよ。

田家:赤旗を刷っている印刷会社でしたよね。

佐久間:この「風」という詞に僕が触れた時に、左翼系の詩人が書いたんだと勝手に数年前まで思ってたんです。それで、3、4年前に朝倉勇さんに関して調べてみたんですが、彼はコピーライターの方で。なおかつこの詩は、詩人の金子光晴さんに書いたものなんですよ。朝倉さんが知人の出版社の方に、金子光晴さんの大きな写真に何か言葉を作ってくれと依頼されて、この詩を書いたらしいんですよ。僕はそのエピソードを聞いてびっくりしてね。僕は渡さんの真似をして、日本の詩人の作品を読んでいってすごく好きになったのが金子光晴さんなんですよ。

田家:さっきの上野の水上音楽堂のライブ音源も1995年なわけで、ステージ上で「風」を渡さんが歌うのもお聞きになっていたわけでしょう。一緒に演奏されたりもして。その時はどんな風に聞かれていたんですか?

佐久間:仲間が今何をしているのか聞かせてくれっていう歌詞も、きっと左翼系の地下に潜ってる人たちが仲間を思ってるんだろうなとか解釈してたんだけど、全然違ったんですよね(笑)。

田家:でもそういう意味では、色々なことを渡さんから勉強したり影響された部分もあるんでしょうね。

佐久間:ありますね。渡さんの家に行くと、本箱が日本の詩人の詩集ばかりなんですよ。片っ端から全部読んでるはずですね。

田家:そんな話も頭に置きながら、次の曲をお聞きください。1993年のアルバム『渡』から「風」。

Rolling Stone Japan 編集部

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