村井邦彦とともにアルファミュージックの創設期を振り返る

(スタジオ)

田家:1971年1月に発売になった赤い鳥の「翼をください」。思わずカセットと言っていましたが、小説には確かにカセットとは書いてありません。赤い鳥は当時、後藤悦治郎さん、平山泰代さん、新居潤子さん、山本俊彦さん、大川茂さんの5人組でした。後藤さんと平山さんは結婚されて、山本さんと新居さんも結婚されます。ロンドンでプロになるかどうかを皆に訊いて、5人のうち3人が挙手したからプロになると。これはステージで後藤さんが話したりもしていたんですが、本人はこれを覚えていなかった(笑)。もし誰も手を挙げていなかったらどうなっていたんだろう、と考えると、村井さんがプロにしたと言ってもいいんじゃないでしょうか。こういうのが伝説と言ってもいいのかもしれません。

地球はメリー・ゴーランド / GARO

田家:今流れているのは、GAROの1971年のデビュー曲「地球はメリー・ゴーランド」。この曲は瑞々しくて新鮮でしたね。他はハードロックやブルース的な日本のロックが多かったんですが、こういうハーモニーが新鮮でした。アルファミュージックの歴史のそばで必ず語られるのが、マッシュルームレーベル。1971年に設立されたロック系の専門レーベル、日本では1969年にURC、日本語のフォークとロックの走りのようなレーベルが生まれていましたが、マッシュルームレーベルはロックに特化していた。立ち上げたのは、川添象郎さんと内田裕也さん、ミッキー・カーチスさん、京都のロック史の伝説、今は美術家の木村英輝さんの5人だったんです。アルファミュージックは出版社ではあったんですが、マッシュルームはレーベルとしてレコードを作っていた。そこからGARO、小坂忠さんらがデビューしました。小坂忠さんのバックには細野晴臣さん、松任谷正隆さんがいてプロになっていく。川添象郎さんがマッシュルームレーベルを立ち上げる前に、「HAIR」を日本で上演しているんですが、「HAIR」には加橋かつみさん、小坂忠さん、パーカッションの斎藤ノヴさん、GAROの大野真澄さん、柳田ヒロさんも役者やミュージシャンとして関わってます。つまり、「HAIR」から始まったレーベルがマッシュルームレーベルだったと言っていいでしょう。村井さんの話の後にお聞きいただくのは、小坂忠さんの「ほうろう」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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