音楽素材のサブスクサービス「Loopcloud」が広げていく新たな音楽の可能性

ーリズ・ナズ・Xのヒット曲「Old Town Road」でもカントリーとヒップホップの要素を掛け合わせていたり、Nine Inch Nailsの楽曲からバンジョーのパートをサンプリングしていたりしていますよね。海外のヒット曲とかを見ていると、そういう組み合わせ方やサンプリングは確かに日本より多いのかな? と思いました。



海外でもそうなんですが、使ったサンプルは誰の物かっていう発信があまりないんですよ。そこがアーティストとして一番大事な部分じゃないかなと思っていて。西洋の考え方なのか、著作フリーで出しているんだから別にいいだろうっていうオープンさがあるからこそ、確かに広がりは早い。でも、そこに対してもう1個何かできるんじゃないの?と僕は思っていて。

ー誰のどの音やフレーズをサンプリングしているか明確にしてほしいと。

そうです。それってWin-Winじゃないですか。それがヒットしてあいつが作る素材はやばいっていう話になれば、作った本人もどんどん新しいものを生み出そうってなるし。それを売ってくれる人がいるのも、ちゃんとリスペクトがあるわけで。人間が作った音を売っているので、その人間に対するリスペクトが浸透してくれるといいな。映画のエンドロールでたくさんクレジットが入るのと一緒で、著作権フリーだからこそリスペクトする文化を日本なら広められるんじゃないかな。そういった文化が広がってくると、思いがけない縁が生まれると思うので。そこから日本の音楽シーンが育ってくれたら嬉しいなと思います。Loopcloud上でも400万種類もサウンドがあると、どのキックの音を使ってるんだろ? って話になってきちゃうところもあるので。そういうのも気にしつつやるのもありなんじゃない? って僕は思いますね。

ー世間的には、ミュージシャンって言うとSSWとかバンド、ラッパーなど表舞台に上がっている人たちが一番先に出てくるイメージがありますが、音楽素材を提供する側にもスポットライトが当たったりすると面白いかもしれませんね。

僕もボーカルなので、表に立つ人間としての特異性はあると思っているんです。でも、その後ろには支えてくれていた人たちがたくさんいるわけじゃないですか。あくまで前に立つ人ってリスナーに気づかせる立ち位置であって。こういうものを作っている人がいるんだっていう視点が循環していくと、音楽業界がもっと面白くなっていくんじゃないかなって思いますけどね。

Rolling Stone Japan 編集部

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