アーティストの不満を解消? Spotifyがロイヤリティについて解説する新サイトをオープン

米ニューヨーク州ロウアー・マンハッタンのSpotifyの米国本社(2019年12月) Daniel Kalker/AP Images

Spotifyは、少ないロイヤリティに対するアーティストの不満への対応策として、新たなデータを提供するインタラクティブサイトを立ち上げた。

ここ数年にわたってSpotifyのロイヤリティの支払いシステムを公然と批判してきたすべてのアーティストや作曲家に対して同社は「みなさんの声はしっかり届いています」というメッセージを発信した。

Spotifyのメッセージ通り、「Loud and Clear」と命名された新サイトおよびイニシアチブは、現地時間3月18日に公開された。このイニシアチブのねらいは、ロイヤリティの支払いシステムの舞台裏を包み隠さず公開し、アーティストや音楽クリエイターたちにストリーミングビジネスの仕組みをより良く理解してもらうことにある。

「社内では、アーティストへの支払いやロイヤリティについて毎日話し合っています。しかしながら、社外に対して私たちは沈黙を守りすぎ、こうした議論にいままで参加・貢献してきたことを十分共有できていなかったのだと思います」と、同社マーケットプレイス部門責任者を務めるチャーリー・ヘルマン氏は本誌にこのように述べた。

新サイトでは、Spotifyが採用する“プロラタ”(訳注:残高に応じて比例配分すること)モデルによるロイヤリティの支払いシステムの解説に加え、アーティストが自分自身をほかのアーティストと比較したり、プラットフォーム全体における立ち位置を比較検査したりするのに役立つ新しいデータがいくつか公開されている。さらには、利用者のためにロイヤリティの支払いシステムをステップごとに紹介する動画や、複数の楽曲のストリーミングや月の再生回数を実験的に試し、プラットフォーム全体におけるアーティストのパフォーマンスを検証するツールも用意されている。

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詳しくない人のために解説すると、Spotifyは次のようなビジネスモデルを採用している。まず、Spotifyには“無料利用枠(Free Tier)”というサービスによる広告収入とプレミアムプランという定額制の月額プランの利用者からキャッシュが入る。Spotifyはここから得た収益をひとまとめにし、その約3分の1を自らの取り分としてキープする。残りは月のストリーミング再生回数の割合に応じてレコードレーベルや音楽配信を代行している音楽ディストリビューションサービスなどの著作権所有者に分配する。続いて、著作権所有者が契約内容に基づいてしかるべき額をアーティストに支払うという仕組みだ。昨年、著作権所有者にSpotifyが支払った金額は50億ドル(約5400億円)、ロイヤリティの総額は史上最高額の230億ドル(約2兆5000億円)だった。

Translated by Shoko Natori

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