音楽素材のサブスクサービス「Loopcloud」が広げていく新たな音楽の可能性

ー今回は、JESSEさんの楽曲「START LINE」をサウンドサンプルの課題曲にしたリミックスアルバム『RE/START LINE』をリリースされました。この企画を思い至った経緯をお訊かせください。

日本ではLoopcloudのサービス自体が2017年にスタートしているんですけども、まだDTMとかDAWをよく使う人であれば知っているぐらいのレベルなんです。僕もバンドをやっていた頃は、作曲にあたって打ち込みやシンセの音などを買わなきゃいけないし、いちいちMIDIを打ち込まなきゃいけなくて。そんな時にLoopcloudを使ってみたら、こんなにおもしろいおもちゃはないし、こんなに簡単にできるの? と思って。ある程度、出来上がったものがあった方が楽だし、時短なんです。自分の思い描いているものを止めたくない。それを解決してくれるソフトだと思うんです。その想いをLoopcloudのイギリス本社に直接話したところ、日本にもっと広めてみようということになって。何が一番早いかなと考えた時に日本のアーティストが使ってますよというアピールが、1番クリエイターに分かりやすく伝わるんじゃないかなと思って始めました。

ーそこで、JESSEさんにもお声がけしたと。

僕とJESSEは同い年で、高校生の時から知っている仲なんです。17、18歳ぐらいの時から第一線に立っている仲の良いロックスターで、ヒップホップの分野でも刺さるかもしれない。ちょうど、Loopcloudを使ってほしいけどまだ気づかれてないだろう層に当たるんじゃないかなと思って話をさせてもらって。リンキン・パークのチェスターのボーカルのステムデータってオフィシャルで無料配布しているんですよ。それを聴いた時に「もうチェスターって死ぬことはないんだな」って思ったんです。誰かがチェスターの声を使って新しい曲を生んだら、チェスター自身はその中で生き続けるんだなと。常に彼の声というのは受け継がれていく。そのリンキン・パークの発想がロマンだなと思って。誰かの声で同じことをやりたいと思った時に、JESSEに「JESSEの声を世の中に提供して、作品、メロディを残してみないか」って話をして。彼も「それはおもしろいね」と言ってくれて。パッケージとして一度、我々のLoopcloudの中にJESSEの声を出して大会という形でやってみたらサービスも広まるし、彼の声を使った作品がよりたくさん出てくるんじゃないかなと思って、今回の企画を始めました。


JESSE

ー今回のリミックスコンペで収録される曲たちを選ばれた基準は何かあったんですか?

基準はやはり個性。やっぱり原曲を超えてきてほしいし、そんなことするの!? っていう意外性だったりとか。あとは、もちろんサウンドのクオリティですね。今回優勝したS-NAさんはとにかく音が良いし、センスが良かったというので選ばれました。あとは、2曲目のDEVDFRE$Hさんは、曲の頭から自分たちのメロ、歌とラップだけで攻めて、最後にJESSEの声を入れてきて。「いい裏切り方してきたな」みたいな印象を受けて、選ばれましたね。自分の歌を絡めてくるのは、今回の大会の中でも一番やってきてほしい部分で。自分の作品にJESSEを入れるという受け取り方をしたアーティストは選ばれましたね。

Rolling Stone Japan 編集部

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