大木亜希子と手島将彦が語る、エンタメ業界で生きるための精神とお金の話

左から、大木亜希子、手島将彦



大木:私が育った年代はメディアが発達している世の中だったので、アイドルだったらSNSのフォロワー数が人からの評価に繋がる世界に生きてきたんです。なので、自分の目標に向かっていっていいんだ、という手島先生の発言は、極めて人間らしい生き方を伝えてくれていると思います。自分がアイドルを卒業して数年後に会社員になって病んだ時、知り合いのカウンセリングの先生から、心理学用語でチャンクって言葉を教えてもらったんです。抽象的になればなるほど多くの人に伝えやすいけど、具体化していくと、よりコアな人に伝わりやすい。アイドルは後者で、こういうキャラクターで、おくれ毛があって、前髪があって、前下がりのボブで、みたいな紋切り型社会になっているのが原因なんじゃないかなって今、聞いていて思ったんですけどいかがですか?

手島:それはありますよね。ファンとミュージシャンやアイドルが、お互いに期待するものを通して共犯関係を作っていく。本に登場する三ツ井裕美さんが「人として幸せになる感情を大切にしてほしい」とおっしゃっていて。それはお互いそうでなきゃいけないんですよね。エンタメ側も、それを視聴するファンも、どっちかが我慢するものでもないし、自分の思いを相手にぶつけるものでもない。

大木:そういう状況の中で、自分たちはどうやって健康になっていけばいいのかを考えたんです。私は28歳ぐらいで心を崩したとき、自分らしく生きていきたいと初めて思ったんですね。先生の本の中で、パッション・ピットのマイケル・アンジュラコスが双極性障害であることを明かして、「常に音楽を作り続けていくための唯一の方法は懸命に健康を維持することだ。より健康であることはとてもアートなことなんだ」ってエピソードを書かれていて、1000回くらい「いいね」したくなりました(笑)。夜は徹夜してなんぼだっていう考えが、自分が社会人として働いてきた15年間の経験もふまえて、今もまだはびこっている気がします。この本を読んで、健康がアートだというのを、アーティストが実はもう何年も前から言っていることに驚きました。

手島:ちょっと前の世代だと、スポーツ界も多少怪我をしてでもやるのが当たり前みたいな感じだったんですけど、少しずつ見直されてきていますよね。その大きなきっかけとして、コロナ禍で多くの人がメンタルだけじゃなく、体のことも含めて健康に向かうようになってきているのかなと思うんです。

Rolling Stone Japan 編集部

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