大木亜希子と手島将彦が語る、エンタメ業界で生きるための精神とお金の話

左から、大木亜希子、手島将彦



手島:エンタメに限らず、大人が若い人にお金のことを教えないんですよね。僕は音楽の専門学校で教えているんですけど、何が売れたらどのくらいお金が入ってという流れを最初にガッツリ教えるんです。その上で、どうやって自分を守って生きていきますか、という話だと思うんですよね。

大木:やっぱり、家賃はいくらのところに住んでますとか、年収、パートナーの有無は恥ずかしくて言えないような雰囲気が未だに社会のなかにありますよね。そういう状況だけはなんとか変えたいなと思うんです。音楽学校で印税の話を学ぶことは有益なことですよね。卒業してから何かあった時に対処できると思うし、交渉もできるし。

手島:これは仕方がないことなんですけど、まだ若い人が想像しにくいことは、それが自分の生活にどういう影響を及ぼすかって話なんですよね。武道館でライヴをして、結婚してって人生を送ったとしても、そこからずっと売れ続ける人は一握りしかいなくて。そういう状況で、子どもがいるみたいなリアリティが想像できないわけですよ。それは当たり前なんですけど。もちろん音楽だけで食っていきたいですって人もいるだろうけど、よくよく考えてみるとファッションが好きでしたってこともあると思うので、他のことも考えておくとか。あるいは、音楽との付き合い方を考えておくとか。いろいろな先に考えることができるはずなんですよね。お金と生活のリアルみたいなものを繋げると。そこはわりと早いうちに教えることにはしていますね。

大木:めちゃくちゃ興味深いです。それが「夢の呪縛」なのかなと思いました。例えば、武道館前日に「15年後の年金どうする?」とか話したら士気が下がるからみんな言えないですよね。アイドルも内々ではお金の話はしない暗黙のルールみたいなものがあるんです。もちろん同じアイドルグループにいたとしても、こなしている仕事量はそれぞれ違うわけだし、待遇が人によって違うのは仕方ないんですけど、パラレルワークは、これからを考えるにあたって大切だなと思います。私自身、今コロナ禍でちょっとお休み中ですけど、スナックのママとか、ライターとか、女優業、タレント業、できるだけ幅を広げるようにしていて。それでも不安は絶えないんですけど、アーティストたちが、いかにストレスなく正しい知識を持って生きていくかが、これからの時代のテーマな気がしますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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