聖飢魔IIの創始者「ダミアン浜田陛下」が語る、王道を貫くメタル愛

邦楽・洋楽、海外・国内の垣根をこえて

―イメージの強さゆえに、すべてコンセプトありきで成立しているようにも見えがちですが、実は何よりも楽曲優先ですべてがそれに付随している、という点にも興味深いものがあります。そして改めてお聞きしたいのが、さきほども話に出た洋楽に対する意識のあり方についてです。洋楽リスナーの耳を意識するという傾向は、実はご自身にも過去に邦楽を軽視していたことがあったからではないか、という気がするのです。いかがでしょうか?

DH:はははは! その通りだ。今だから言えることだが、そうした傾向は多分にあったように思う。私自身の音楽歴は、小学生の頃に特撮やアニメの音楽に興味を持ったところから始まっている。実は3歳上の兄がおるのだが、兄が歌謡曲を聴けば自分も歌謡曲を、フォークを聴くようになれば自分もそれを、というのがあり、ロックを聴くようになったのも兄がロックを聴き始めたからだった。最初に兄から聴かせてもらったのがエマーソン・レイク&パーマー。つまり私のロック歴はプログレから始まっている。「おお、これはすごい!」と心底感じたものだ。そして、そこからハード・ロック/ヘヴィ・メタルの世界に入っていくことになる。レインボーの『虹を翔ける覇者』を聴き、そこで目覚めたのだ。すぐさま曲を作りたいなどと考えたわけではないが、「これぞ私のものめていた音楽ではないか!」という感覚があった。そこからリッチー・ブラックモアの過去をたどっていくようになり、ディープ・パープルの『ライヴ・イン・ジャパン』を手に入れ、あの“ハイウェイ・スター”を聴いて自分でもギターを弾いてみたいと思うようになったというわけだ。要するに私の場合、フォークからそこに足を踏み入れることになったので、日本のロックというものを通っていない。

もちろん有名な大御所バンドなどは知っていたが、一度洋楽ロックに夢中になると、そこで邦楽を聴くことはある種の後退であるかのように感じていた部分がある。もちろん決してそんなことはないわけだが。ただ、そんな私の意識を最初に替えてくれたのが紫だった。ディープ・パープルそっくりで、歌詞も英語で、ほとんど洋楽ではあったが、彼らの音楽に触れたことで「日本のバンドもすごいな」と思うようになった。その流れから、カルメン・マキ&OZなども聴くようになったが、決定的だったのはラウドネスの登場だろう。彼らの“Loudness”という曲の歌詞には「固い頭に釘を打ち込め」という一節があるが、まさに脳天に釘を打ちつけられたかのような衝撃をおぼえたものだ。高崎晃さんのギターももちろんだが、二井原実さんの歌唱法も素晴らしかった。洋楽に負けないもの、しかも男性ヴォーカルでありながらあのキーで歌うのか、というところが圧倒的だった。そして私が思ったのは、そうしたすごい人たちがいる以上、ギター・テクニックの面では敵わないだろうが、作曲面では対抗できるのではないか、ということだった。

―そこに陛下の作曲に対する動機の根源があるわけですね。過去には確かに、日本のバンドが洋楽の代用品のような位置付けだった時代もありました。が、そのラウドネスが世界で広く認知されるようになったことを機に状況もだいぶ変わったように思いますし、昨今では日本の音楽家が作ったものを全世界に向けて配信するようなこともごく普通にできるようになっています。Damian Hamada’s Creaturesはまさにそうした時代に動き始めることになったわけですが、そこでの野望のようなものも当然お持ちなのではないかとお察しします。

DH:ふふふ。確かに野望は膨らんでおる。先日、YouTubeにミュージック・ビデオをアップしたところ、外国からも多数の感想が寄せられていた。まだCD、いや、聖典も世に出ていないうちからね。「こんなにも早い段階から興味を持ってくれているのか!」と、思わず私も嬉しい気持ちになったぞ。こちらから働きかけているわけでもないのに欧米の人たちが聴いてくれ、感想を送ってくれる。これはさすがの私もいい気になる……いや、自分にとってとても励みになる(笑)。



―今ふと思ったのですが、このバンドの特殊な成り立ちを考えると、それこそ将来的には陛下の書かれた楽曲を外国の僕(しもべ)たちが演奏する、というようなことがあっても面白いのではないでしょうか?

DH:ああ、そんなことにでもなれば私には非常に光栄なことだ。しかもシエルは英語が堪能ときている。もしも海外から「英語盤を出してくれ!」という要望があれば、いつでもそれに対応できるような状況は整っておる。まあ、明日やってくれなどと言われれば無理だがな(笑)。しかしそうやって、私の野望は膨らんでいくというわけだ。

―この先にどのような展開が待ち受けているかを楽しみにしております。ただ、同時に陛下には、これまでのかくも長き不在について責任を感じていただきたい部分もあるのですが。

DH:はははは! それは嬉しい誉め言葉として受け止めておこう。この先を、楽しみにしていてくれたまえ。


ダミアン浜田陛下とDamian Hamada’s Creatures


<INFORMATION>


大聖典『旧約魔界聖書 第Ⅰ章』
Damian Hamada’s Creatures
アリオラジャパン
発売中

1. 聖詠
2. Babel
3. Heaven to Hell
4. Running like a Tiger
5. 三枚の照魔鏡
6. Lady into Devil
7. Sacrifice of Love~主よ、人の欲望の悲しみよ
8. Babel(カラオケ)
9. Heaven to Hell(カラオケ)
10. Running like a Tiger(カラオケ)
11. 三枚の照魔鏡(カラオケ)
12. Lady into Devil(カラオケ)
13. Sacrifice of Love~主よ、人の欲望の悲しみよ(カラオケ)



大聖典『旧約魔界聖書 第Ⅱ章』
Damian Hamada’s Creatures
アリオラジャパン
発売中

1. Angel of Darkness
2. Deepest Red
3. 新月のメヌエット
4. 女神と死神
5. 魔皇女降臨~Birth of Death, Death of Birth
6. Which Do You Like?
7. Angel of Darkness(カラオケ)
8. Deepest Red(カラオケ)
9. 新月のメヌエット(カラオケ)
10. 女神と死神(カラオケ)
11. Which Do You Like?(カラオケ)

https://www.damianhc.jp/

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