シドが語る、16年前からファンに伝え続けてきたこと

―時代に刻んでいきたいという言葉は、アルバム『承認欲求』の時にも出てきましたよね。時代や社会を意識するっていうのは、ずっと考え続けてるところなんですね。

マオ:初期の頃は、伝えたい想いや世界観、興味から始まって歌詞を書くものが多かったんです。でも、もっとたくさんの人に届いてほしいと考えたり、アニメのタイアップで作品の世界観に近づけたりと、色々な書き方を覚えていく中で、今は作品を残したい気持ちがどんどん強くなってきたんです。大げさに言うと、自分が死んだ後も残っていて恥ずかしくないようなもの。「あの言葉を残せてよかったな」と思える言葉を、いかにたくさん残せるかっていうのは、歌も含めてすごく意識しています。

―表現者として、時代や社会的に意味のないものは作りたくないと思うんでしょうか。

マオ:そんな大それたことを自分でやれるとは全然思っていなくて。むしろ、自分なりにかっこいいものを残したい。かっこいい基準もずっと変化していくんですけど、その変化の仕方までも、しっかり刻んでいきたい。バンドを長くやってなかったら、きっとこういう気持ちにもなってないだろうし。長くやってこれてよかったです。


マオ(Vo.)

―「声色」は、シドからファンへの想いもそうですし、恋人関係、この時代のキーワードの一つでもある"繋がり"を上手く表現している歌詞だと思いました。

マオ:テーマはまさにその通り二つの意味があるんです。「ほうき星」で笑顔になってもらって、「siren」で、落ち込んでる人は一旦深いところまで落ち込んでもらうことも一つの背中の押し方だと思っていて。「声色」に関しては泣きたい人に思いっきり泣いてもらうのも一つのテーマだったんですよね。映画でもそうだと思うんですけど、元気になりたいからコメディ映画ばかり見るわけでもないし、泣きたいのにハッピーエンドの恋愛作品を見てもしっくりこないだろうし。色々な人が色々な感情で動いている。その全ての人たちに当て嵌まるものを意識しなきゃなと思って、今回の3作の歌詞を書きましたね。

―3作連続リリースの順番には、意味があるんでしょうか? 僕は、「ほうき星」が明るい世界観で、いわゆるコロナ前の今まで通りだった時期。「siren」でコロナ禍で沈んだ世界を象徴して、「声色」になると、暗い部分を引きずった感じはありつつも、最後にまた希望を見出していくストーリー性を感じました。

マオ:それかなりいいですね。意味は特になかったんですけど、いただきます(笑)。

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