シドが語る、16年前からファンに伝え続けてきたこと

―Shinjiさんはいかがでしょう? 「ほうき星」の楽曲制作に対して、コロナ禍という時期を意識してる部分はあったんでしょうか?

Shinji:意識していましたね。作曲の振り分けを決める中で、たまたま僕が元気な曲の担当になったんですけど、暗いニュースが多い中で希望が溢れる曲を本当に作りたくて。でも、元気の押し売りもあんまり好きじゃないし、シドが17年間やってきた熟練された部分も欲しかった。あとは、最近は引き算をメインに考えていて余計な音をこの楽曲に入れたくなかったんです。より一層スリーピースに近い形の音のアレンジ、かつシドらしいメロディアスな楽曲を意識しました。



―前作『承認欲求』制作時も、引き算のアプローチで作られたお話をしていただいたんですけど、それは今でも続いているんですね。

Shinji:そうですね。どの楽器でもそうだと思うんですけど、音色作りって正解がなくて。より良い音にしたいと思う中で、納得いく音が作れるようになっていくんです。そういう音ができると、余計な音を入れずに一発の音をちゃんと綺麗に聴かせたくなるんですよ。

―ゆうやさんは「声色」の作曲に関していかがでしょう?

ゆうや:コロナ禍だからこそというテーマが元々あったので、この世界で生きているからには、自然にそういう気持ちになっていたので、すんなりと気持ちを込めて作れました。例年に比べると悲しい情報がとても多かった印象が強くて。浮き沈みはあるんですけど、その情報や情報量ってすごくこの時代を象徴していると思っていて。そういう中での感情の部分が入っていると思います。

―「ほうき星」の歌詞は、全体的に優しく包み込むようであり、この世界に希望を示してあげるように感じました。この歌詞はどんな想いで描かれましたか?

マオ:まさにその通りで、希望を感じてもらえるような曲にしたいと思って書きました。ファンに送る応援ソングを書くにあたって、今のシドだとこういう形かな? というのを意識しながら歌詞を書きました。

―「siren」の歌詞だと、"そびえ立つ汚れた権力"っていう表現があって、それは政治のことを指してるのかなって思ったんです。政治に関しても意識が向いているのかなと。

マオ:ただ背中を押すだけではなく、そういうフック的な言葉を二番のAメロやBメロで入れていくのは、割と僕が使う手法なんです。今回は、ファンへの応援ソングでありながら、今の世の中のことも歌っている曲にしたかった。直接的な表現を使わずに伝えるっていうのが好きなんですよね。曲の世界観から感じるものや、当時の世の中を俯瞰で見たときの目を逸らしたくなるような部分も時代に刻んでいきたいという気持ちでしたね。

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