素顔の浜田省吾 水谷公生と紐解く最新ミニアルバム



田家:続いて3曲目の「砂の祈り」。2004年のアルバム『Have a nice life』の曲です。この曲で思い出されることは?

水谷:当時はイラク戦争の直前でした。実は僕もデモに参加したことがあって、その後に自衛隊が派遣されたじゃないですか。それに疑問があって、浜田さんとも話す機会が多くて。そうやって3人で話してるうちにできた曲ですね。

田家:砂というのは、中東の砂漠ということもあるんでしょうしね。Fairlifeは、作詞は春嵐さんが手掛けることが基本ですが、この曲の作詞は春嵐さんと浜田さん。浜田さんらしい曲ですね。浜田さんは曲のストックが、かなり多かったんですか?

水谷:僕は彼の全てを見ているわけじゃないけど、たくさん持ってると思いますよ。その中で、時代のことを考えたりしながら、自分の歌いたい曲を選ぶんじゃないでしょうかね。

田家:曲の作り方っていうのは、どういうやり取りをしているんですか?

水谷:3枚のアルバム全部一緒なんですけど、浜田さんがやりたいっていう曲をいただいて、僕が譜面に起こして、薄い伴奏を作っておくんですよ。歌う人が決まったらキーを考えて、歌ってくれる方には必ずうちのスタジオに来てもらって、仮歌を歌ってもらって、その歌を聞いてからミュージシャンとか皆でアプローチを考えてますね。

田家:スタジオに来ると言っても、半分は水谷さんのお宅に来るようなものですよね?

水谷:そうそう。だから、生ドラムとか弦やブラスを入れたいっていう時は外のスタジオに行きますけど、基本は家でこそこそやってました。

田家:奥さんの手料理があったりしながら。

水谷:途中から皆それが楽しみで来るようになって(笑)。

田家:とてもアットホームなレコーディングであり、ミーティングであり。

水谷:1970年代、1980年代のカリフォルニアのレコーディングって割とそういうのがあったみたいでね。向こうは自宅にスタジオがある人が結構いたりして。ガチガチに固まってテンションを上げてのレコーディングっていうのもたまにはいいんですけどね。でも、それだとこういう作品を作るにはちょっと違うものになっちゃうんじゃないかなっていう感じがしますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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