素顔の浜田省吾 水谷公生と紐解く最新ミニアルバム



田家:これいい曲ですね。

水谷:ポップスをやる上で、昔から色々な重鎮たちの言葉に「シンプルイズベスト」っていうのがあると思うんです。ポップスでは一番大事なことで。簡単にギターやピアノを弾ける曲という意味では、本当によくできてる曲ですよね。

田家:とってもシンプルではありますよね。水谷さんは、この曲のギターについて「僕の歌の伴奏ではベスト」って仰っていませんでした?

水谷:はい。僕も浜田さんの横にいて一緒にのめり込んで、この曲は完全に入り込めると言いますか。自分でアレンジしてますから、詞のこともコード進行とかも全部把握してるわけじゃないですか。完全にステージ上で何回もやったような感じで弾ける、色々なことを考えないでできて。変な言い方ですけど、魂だけで弾けたっていう感じなんでね。後で振り返っても、自分のギターはあまり好きじゃないことが多いんですけど、この曲はいいなあって思いました。スペインに僕のファンがいるんですけど、レコードとは思えない、ライブのような音だねっていう手紙をもらって、とても嬉しかったです。

田家:スペインのファンですよ(笑)。この曲の参加ミュージシャンも、ベースが岡沢茂さん、キーボードが西本明さん、もう一人のギタリストが古川望さんという実力派揃い。

水谷:皆さん、歌をよく聴く人たちですね。素晴らしい方々です。

田家:「木霊」っていう字の発想が素晴らしいと思うのですが、これは春嵐さんがお書きになったものですか? 春嵐さんが書いていますけど、浜田さんが思ってることとか心にあることがちゃんと重なり合ってる歌詞でもあり、アルバムなんでしょうね。

水谷:そうです。制作中には、参加ミュージシャンと一緒にご飯を食べる時もあるので、そういう時の話題を春嵐も聴いて、「浜田さんが何を考えてるんだろう?」っていうこともあったし、浜田さんも自分の意見と食い違う歌詞だったら歌わないと思うんですよね。まして、彼女を選ばなかったと思うし。やっぱりどこか共通点があるからだと思うんです。

田家:同じようなことを感じたり考えていても、男性と女性では選ぶ言葉が違ったりもするでしょうし。

水谷:生まれた環境や世代もあるし、色々なことがあるけど、根本的に肝になる部分は同じ仲間だなっていうのがあるんじゃないですかね。

田家:この曲は特にそんな曲だと思います。そして、今回のミニアルバムにはインストになった曲がありました。7曲目「野に咲く花」。

Rolling Stone Japan 編集部

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