素顔の浜田省吾 水谷公生と紐解く最新ミニアルバム



田家:オリジナルは3枚目のアルバム『みちくさ日和』に収録されていて、その時は宮沢和史さんがボーカルでした。ですが、今回はインストにしようと。

水谷:歌ってすごく強いんですよ。もちろん歌の下に伴奏があるんですけど、これは浜田省吾さんのライブでピアノを弾いてる河内肇くんとオーケストラと宮沢さん、全て同録だったんですね。そのサウンドを改めて浜田さんが聴いて「後ろで弦が動いたりする音が素晴らしい。でも、歌があると歌のバックに演奏が隠れてくる」っていうことで、オケだけでやってみないかって言われて。僕としてはアレンジャー冥利に尽きますから、尻尾を振ってきゃんきゃん叫びました(笑)。もちろん宮沢さんの歌も素晴らしいので、是非そちらの方も聴いてみて下さい。

田家:オーケストラアレンジというのは、水谷さんは頻繁におやりになるんですか。

水谷:もうキャリアも長いですからね。

田家:1960年代にグループサウンズのギタリストでプロになっている方ですもんね。

水谷:僕は別に音楽大学を出ているわけじゃないので、最初はわからないことが多かったんです。でも、スタジオミュージシャンだったのでね。この前亡くなられた筒美京平さんとか、前田憲男さんとか皆さんの演奏に参加させてもらったので、オーケストラってどういう風になってるんだろうと耳で覚えてました。ギターって楽譜よりも実音がオクターブ低いんです。だから、弦を譜面に起こす時に、全部オクターブ上で書いちゃったんですよ。初めてやった時に。オーケストラの人たちがもう泣きそうな顔になっちゃって、僕も真っ青になったんですけど。でもその時のストリングスのリーダーの方が「写譜ミスなんじゃないですか? オクターブ下げたらすごくいいですよ」って言ってくれたんですよ。そしたら皆から拍手もらって(笑)。

田家:それは何歳頃ですか?

水谷:30歳手前ぐらいかな? 何も分かんなかったんですけど、レコード会社のディレクターの人に可愛がってもらって、こういうことも勉強しなさいって言われてやったんですけどね。

田家:浜田さんと出会う前ですか。そういう経験をして、今はこういう関係になっております。続いてアルバム最後の曲です。

Rolling Stone Japan 編集部

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