全米UFOカルチャーDEEP案内【長文ルポ】

2019年9月20日、米ネバダ州レイチェルで開催された「Alienstock Festival」にて。参加者の女性たち。(Photo by Mario Tama/Getty Images)



元国防総省のキーマン

翌日、筆者はTTSAの幹部ミーティングに同席させてもらった。その場には、デロング以外の全幹部が出席していた。元CIA職員、ロッキード社の上役らに交じり、元国防情報局副次官補のクリストファー・メロン、そしてジーンズに黒のTシャツとヤンキースのキャップ姿の大男ルイズ・エリゾンド(元国防総省のスパイ)等の姿もある。

その時点で、ニューヨーク・タイムズが例のTic Tac風の物体の映像を公開してから2年が過ぎていたが、政府を本気にさせようとするTTSAの努力は実っていなかった。唯一の大きな前進は、国防総省が新たな報告システムを導入し、軍人たちが周囲の目を気にすることなく事実を報告できるようになったことだった。

ワシントンのお偉方たちは耳を貸そうとしなかった。彼らは選挙で選出された議員たちによる公聴会、あるいは非公開聴聞会を開こうと努めていたが、その努力は実る気配すら見えていなかった(その取り組みはパンデミックによって強制的に中断された)。

「彼らの態度は以前と変わりない」。メロンはため息とともにそう話す。「議員の中には未確認航空現象に遭遇した人々もいるが、それを公の場で語ろうとはしない。少なくとも、彼らは何かが我々の領空を侵害していることに危機感を持つべきだ。なのに彼らは、委員会のチェアマンの機嫌を損ねるのを恐れているんだ」

パイロットたちが味方の航空機やヘリコプターに記されるマークを覚えるために使うカードの山から、エリゾンドは1枚を引き抜いた。「パイロットたちは徹底的に訓練されている」。彼はそう話す。「ミグの機体、中国の戦闘機など、彼らはあらゆる航空機を識別することができる。にもかかわらず、識別不可能な何かを目撃したという彼らの主張はまともに取り合ってもらえない。信じられないよ」

メディアの前に出ないメロンとは対照的に、エリゾンドは2020年のUFOカルチャー界隈において一躍有名人となった。キューバから亡命した両親の元、マイアミで生まれ育ったエリゾンドは、カレッジ卒業後に軍に入隊する。ほどなくして国防総省に配属された彼は、スパイ防止活動を任務とするようになる。9.11後はカンダハールに赴任し、のちにトランプ政権の初代国防長官となるジム・マティス大佐の部隊に加わる。デロングはマティスがエリゾンドの命を救ったとしているが、彼はその話を肯定も否定もしていない。

数多くの修羅場をくぐり抜けた後、彼は国防総省でペンタゴンの様々なプログラムを管理する「フライング・デスク」に就く。2008年には新規プログラムに関して、同省の高官たちと複数回に渡って面談を行っている。彼らはエリゾンドに、UFOについてどう思うかと尋ねたという。「特に思うことはありませんと答えたよ」。エリゾンドはそう話す。「悪人どもを捕まえるのに精一杯で、そんなことについて考えてる余裕はないってね」

彼らはさらに追求したが、エリゾンドはデータを持っていないため答えようがないと返した。それでも、彼には任務が与えられた(その内容については未だに明らかにされていないが、未確認飛行物体について調査し、ロシアと中国が米国を凌ぐような航空技術を開発していないかどうかを監視することを基本としていた)。エリゾンドによると、彼は2010年にAATIP(Advanced Aerospace Threat Identification Program)と呼ばれるペンタゴンのプロジェクトを引き継いだ。

Translated by Masaaki Yoshida

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