全米UFOカルチャーDEEP案内【長文ルポ】

ジョージ・ナップとコーベルの自宅にて

もう一カ所、筆者には訪れるべきところがあった。ジェレミー・ケニオン・ロックヤー・コーベルの紹介により、筆者はラスベガス在住のジョージ・ナップと彼の自宅で会うことになった。「絶対来た方がいいぜ」。コーベルはそう話す。「彼がコレクションを人に見せることは滅多にないんだ」

筆者はベガスに飛び、ポーカーのビデオゲームとレバーが1つしかないスロットマシンのあるダイナーでコーベルと合流した。少し経ってから到着したナップは、遅れたことを詫びた。「ジョン・フォガティの取材をしていたんだ」。ナップはそう話す。「彼は私のことを知っていて、不思議な経験について語ってくれた。子供の頃、彼は自宅の上空を飛び回る夢を頻繁に見ていたらしい。彼はもしかすると、自分が何者かに誘拐されていたのかもしれないと考えているんだ」

我々は1マイルほど離れたところにある、ナップの自宅に車で向かった。地下の部屋には何千という数のUFO関連の本が貯蔵されており、そのすぐ側にはテレビでの活躍を讃えたエミー賞やPeabody Awardのトロフィーが飾られている。カジノに駐車されていた車のトランク内で蒸し焼きになりそうだったところを救出したという猫のFreyaは、「非機密」の付箋が貼られた書類の上で退屈そうに体を伸ばしている。我々がついたテーブルの上には、書類が詰まった箱がいくつも重ねられている。文書の多くはロシア語のものであり、ナップがグラスノスチの時代にロシアを訪れた際に入手したものだ。現地のあるUFO研究チームは、進んで話を聞かせてくれたという。しかしプーチン政権が始まってからは、そのドアも閉ざされてしまった。「過去に交流を持っていた人々は皆私と会うことを拒否し、電話にも応じてくれなくなった」

ナップはこういったストーリーを無数に抱えている。ボブ・ラザーの主張が事実だと証言することになっていたある女性は、彼女を尾行していたセダンに乗った男たちから「あんたが『事故』に遭ったら娘は悲しむぞ」と脅されたという。ラザーは電話中に、奇妙なクリック音を頻繁に耳にするようになった。またナップのある情報源は、彼との電話を終えた直後にスパイの訪問を受けたという。

ナップは決して、ワシントンが彼の主張を認める日が来るとは思っていない。「私はこれらの情報の大半が真実だと思っている」。彼はそう話す。「政府はあまりに長く否定し続けてきたために、告白の機会を見つけられずにいるんだ」。もしそれらが全て事実ではなくとも、それは問題にならないと彼は話す。「ボブ・ラザーのような人物が真実を述べているかどうか、そんなことはどうでもいい。エリア51は、もはや我々のカルチャーの一部なんだ」

しばらくして、ナップはある告白をした。エリア51周辺の砂漠や、超常現象スポットとして知られる場所の多くを何度も訪ねていながら、彼は何も目撃したことはないという。「宇宙人たちは私がやって来るのを察知すると、いつもどこかへ行ってしまうんだ」。冗談交じりに話しながらも、彼はとても寂しそうだった。

Translated by Masaaki Yoshida

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