エディ・ヴァン・ヘイレンはなぜ偉大なのか? 天才ギタリストが音楽界を席巻した6つの理由

エディ・ヴァン・ヘイレン、1979年撮影(Photo by Paul Natkin/Getty Images)


2. ギターに関してはマッドサイエンティストさながらだった

職人気質のエディは自分の楽器の力を最大限に引き出せるよう、改造・調整する方法をつねに探し求めていた。自分の頭の中にある音を出させるためこの楽器を最適化すべく彼が取り出したのは、紙ヤスリとノコギリである。最も有名な彼のギターは、その誕生の仕方にちなんで“フランケンストラト”か、あるいは“フランケンシュタイン”の名前で知られている。彼が50ドルで買ってきたシャーベルのボディに、80ドルでやはり別に買い求めたネックを自らの手で繋いで造り上げた楽器だったからである。さらに彼はよりふくよかな音を得るため、ボディにはハムバッキングピックアップを搭載する剛胆さも持ち合わせていた。レスポールなど、ギブソンのギターに典型的な仕様だ。

「とにかく何度も実験したよ」

やはり78年のギタープレイヤーのインタビューで彼はこう言っている。

「ピックアップをブリッジに本当に近づけちまうと三つの音がいっぺんに鳴ってるような響きになる。だから、やり過ぎるとリズムギターには相応しくない音になっちまうんだ。僕はもうちょっと離した方が好みだ。鋭くて、今にも噛みつきそうな感じになる」

フレットも自作で取り付け、当時のギターには標準仕様だったツマミやスイッチの類は全部要らないものとした。使ったのはヴォリュームコントロール一つきりだ。そして、楽器自体を鋭角的な縞模様に塗装した。



彼はまた、ギブソンエクスプローラーのコピーモデルを電動ノコギリで切り刻んでもいる。フライングVに似せたかったらしい。

「誰もギターをどう扱えばいいかなんて教えてくれなかったからね。試行錯誤で覚えていったよ」

同じギタープレイヤー誌の取材で彼はこうも語っている。

「だから僕はこんな具合にたくさんの素晴らしいギターをめっちゃくちゃにしてもきた。だけど今は自分のやっていることもわかっている。こうであって欲しいと思うような姿に楽器を近づけていくためならなんだってできる。店でただ買える、吊るしっていうか、既製品のギターなんてのは大嫌いでね」

もちろん彼は自分の楽器をいじくり回すことに飛び抜けていた最初のギタリストだった訳では全然ない。例を挙げればデイヴィッド・ギルモアには自分の“ブラックストラト”があったし、レス・ポールには最早お化けみたいな“レス・ポール”がある。しかしこのエディが、80年代の改造ギター熱を煽っていたことは間違いがない。

さらに彼はギターの世界全体に幾つかの技術革新を持ち込んでもいる。やはりギタリストのフロイド・ローズとともに、音程を安定させるビブラートユニットの開発にも取り組んだ。チューニングの狂わないようなブリッジにするようローズを促したのが彼なのだ。ギターを支え、タッピング奏法をより容易にする装置については自ら特許も取っている。特許はこれだけではなく、ギタリストが簡単に最低弦の音程を一音下げられるようになる「Dツナ」と呼ばれている装置も彼の発明だ。独自の形のギターヘッドと、やや膨らんだ形状のハムバック機能を備えたピックアップについてもやはり特許を取得している。フェンダーと共同で開発した特殊ハムバッカーについても申請は為されているのだが、こちらはまだ特許までは降りずにいる。

Translated by Takuya Asakura

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